◯回想 ページ1
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初めて会ったときから、ずっと好きだった。
優しい弧を描く切れ長の目が好きだった。
大して強くもない私の術式を
綺麗だって言ってくれたこと。
座学で分からない所を聞いたら
丁寧に教えてくれたこと。
任務の後、二人でコンビニで買ったアイスを
はんぶんこして食べたこと。
一緒にいるうちに傑の気持ちと私の気持ちが
同じだということが伝わってきて、
私たちが付き合うのにそう長くはかからなかった。
最初のデートは水族館だった。
私の休みに合わせてくれたんだっけ。
この日初めて傑と手を繋いだ。
大きくて骨ばってて温かかった。
傑の誕生日には皆で焼肉をして、
朝までゲームしたなぁ。
二人が集中している間に
こっそりピアスをあげたりした。
私と会う時いつも着けてくれてるの知ってるよ。
「A」
いつだって傑は優しかった。
もう一度、その柔らかな声で私を呼んで。
そしたらどこにいても飛んでいくから。
最近は特に傑の任務が忙しくて
あんまり会えてなかった。
最後に話したのはいつだっけ？
瞳の下に落ちた不自然な濃い影を覚えてる。
あの時話を聞いていたら、何か変わったのかな。
私が何かしてあげられることは無かったのかな。
……今更もう遅いか。
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作者名：塩風味 | 作成日時：2022年9月7日 22時
