くのさん ページ4
「いつまで寝てんのよ」
ちゅんちゅん、と小鳥がさえずり朝がやってきた。
朝日を浴びての起床なんて、何カ月ぶりだろうか。
朝日を浴びるということが、これほどにまで気持ちの良いことだったとは・・。
なんて思いつつ、伸びをしながら長い廊下を歩いていれば、前から見えた阿伏兎の隈を作った顔。
「随分お疲れのようだけど・・」
「やっと・・書類が終わったぜ・・」
「あれ、私たち吉原の偵察に来たんじゃなかったっけ。書類なんてやりにきたんだっけ」
私の突っ込みも、おねむの阿伏兎は耳に入れようともしない。
顔面からわかるように、疲労困憊らしい。
「それより嬢ちゃん・・団長起こしてきてくれねェか・・」
「いやよ」
今にもぶっ倒れそうな阿伏兎にそう言い放てば、深いため息が聞こえる。
「・・起こしてこねェっていうんなら、俺の書類作業回すぞオイ」
「ヤケになりすぎよ、阿伏兎」
こちらもため息。
仕方なく踵を返せば、阿伏兎は「悪ィな」と
悪いと思うなら自分で行ってほしいものなのだが。
しかし、書類を回されることの方が御免被る。
・
そして、冒頭にいたるのだが・・
「いつまで寝てるのよ、いい加減にッ・・」
何度口頭で呼びかけようが完全無視を決め込む神威に、今度は強行突破で起こしてみようと試みれば
力強く握られた手。
思わずドキンと心臓が跳ね上がるものの、どうにかそれをとどめてもう一度神威を起こそうとしたとき
「――行かないで」
寝言の様に呟かれた微かな言葉だったが、静かな部屋にはそれは響き渡った。
跳ね上がった心臓とは反対に、ジクリと今度は痛みが広がっていく。
外面はにこにこして、表情なんかわかりにくい神威。
夜兎の中でも最強と称される神威。
それでも、彼はやはり人と同じ様な心をきちんと持っていて、いつもぶら下げてる張り付けた笑みは、内の弱さを悟られないためか
「・・起きなさいよッ!」
これ以上、自分の気持ちを考えたくなくって、無理やりその手を放せば神威は意外とすんなり起きて来て
「なに?夜這い?」
「朝なんだけど」
心配は無用だったようだ。
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神阿(プロフ) - shiyuさん» 楽しんでいただけたようでとっても嬉しいです!ありがとうございました! (2016年7月31日 21時) (レス) id: d25d67767d (このIDを非表示/違反報告)
shiyu(プロフ) - ダイヤモンド・プリンセスとこの作品を読ませていただきました!後評価もさせていただきました(^^) とってもとっても面白かったです…!! (2016年7月31日 2時) (レス) id: aae2baa091 (このIDを非表示/違反報告)
真昼(プロフ) - はい!いいご返事期待してます!頑張って下さいね!p(^_^)q (2016年5月6日 22時) (レス) id: 193a3f96c8 (このIDを非表示/違反報告)
神阿(プロフ) - 真昼さん» 検討させていただきますね!ありがとうございます! (2016年5月5日 22時) (レス) id: 3a209594c6 (このIDを非表示/違反報告)
真昼(プロフ) - 最終話?見ました!楽しかったです!その後が、気になります!続編書いて欲しいです! (2016年5月3日 11時) (レス) id: 193a3f96c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神阿 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kamiamatome/
作成日時:2016年4月18日 20時