第66話 ページ22
＊＊＊
『なんで……いるんですか?』
｢なぁに、その｢存在しているはずのない人が居る｣みたいな目。チョ〜うざいんだけど｣
『…だ、だってそうじゃないですか。あたし、さっき逃げてきちゃって、なのに……』
ああ、駄目だ。声が震えて、掠れてくる。
こんなに表では強がってても 実際は怖くて、どうすれば良いのか分からなくて。
望んでもないのに、涙が出てくるんだ。
それなのに瀬名さんは どんどん近付いてくる。
1歩、また1歩。まるで、あたしがこの場から逃げられないようにする為に。
お願い、止まって。
あたしの気持ちが、溢れる前に。
｢……アンタに、会いに来たからに決まってんでしょ｣
背中にヒタリ 冷たい壁が付いた。
『…あ…はは、』
｢何が、おかしいって言うの｣
＿＿＿＿あぁ、決壊する。
『だって、誰がこんな乙ゲー的な結果を予想したんですか?』
｢……はぁ?｣
『……あたしがどれだけ乙ゲーをやってきたと思ってるんですか!? こんなシチュエーションなんて何百と見てきたんですよ! なのに、なのに!!』
｢……。｣
分かってる。こんなの、ただの自分への八つ当たりと自惚れだなんて。
でも、どうしようもないじゃん。
こんなことされたら。
『＿＿＿＿あたし、瀬名さんの事が好きなんですよ!!』
乙ゲーなんて言っちゃえばこんなのしかない。
青春恋愛ゲームだとか、恋愛アドベンチャーゲームとか。
ヒロインは、必ず、主人公に恋しちゃうんだよ。
『…こんな形で、言いたくなかった。でも、瀬名さんがあたしに話しかけたりする度にどんどん惹かれていって、好きになって、どうしようもなくて!!何度も諦めようとした!忘れようとした!! なのに……こんな事たくさんされて…、』
2次元ではいいかもしれないけど、3次元の女なんて何を言ってもただの気持ち悪い女だ。
2次元のキャラだから許される事だってたっくさんあんのに。
『自惚れるしか……できないじゃないですか』
幻滅、された。
3次元で、初めての｢好き｣を教えてくれた人に。
初恋は甘い味とか、色んなとこからたくさん聞いたけど。どれもあたしの心に響かなかった。
こんなの、苦いだけじゃんか。
｢……だから、自惚れればいいじゃん｣
*｢決壊｣
＊一部文章、決して乙ゲーを貶している訳ではありません。
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とけたた - 初コメです！やっぱりツンデレせないず最高…！このシリーズ見てたら改めてそう思います 私はついさっきこの作品を知ったけど戻って来てくださりありがとうございます！更新楽しみにしてます！ (2021年10月18日 7時) (
レス) @page27 id: 1828f2aa7c (このIDを非表示/違反報告)
ツユカ(プロフ) - 童話さん» ありがとうございます。最近更新遅いのに見てくださって本当に感謝です。頑張ります…！ (2018年4月11日 8時) (レス) id: e56ff2a039 (このIDを非表示/違反報告)
童話(プロフ) - はじめまして。とても面白くてニヤニヤしながら一気に読んじゃいました笑これからも頑張ってください。楽しみにしてます！ (2018年4月1日 13時) (レス) id: f2a324fad5 (このIDを非表示/違反報告)
ツユカ(プロフ) - 那由他さん» なっなゆ…!!!! 最近更新も遅いのに見てくださって本当に感謝です！ありがとうございます…!! (2017年12月20日 13時) (レス) id: e56ff2a039 (このIDを非表示/違反報告)
那由他(プロフ) - にやにやしながら読んでます。やっぱり２も最高です。お身体に気をつけて、更新楽しみにしています。 (2017年12月20日 10時) (レス) id: d1cdc6f44a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ツユカ | 作者ホームページ：
作成日時：2017年5月29日 19時
