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A「そろそろ寝たら?」
センラ「えー、せっかく一緒おんのに?」
A「酔っ払いはさっさと寝る!」
センラ「んー、ほなAさんもご一緒に」
A「えぇ、」
すっと立ち上がった彼の左手は私の右手と繋がれたまま。
このまま向かう先は寝室。
もう慣れたものだ。
次の日私が休みであることをわかったうえで呼び出しているのであろうこの男には敵わない。
最近は控えめになった(当社比)いびきの隣で寝ることはここに来た時点、、、否、電話がかかってきた時点での決定事項なのだ。
A「私帰るからいいのに」
センラ「いやもう夜中やん」
A「その夜中に呼び出したのはどこの誰だか、、」
センラ「えー?ちゃんとタクシー呼んどいたやろ」
A「そういう問題なの?」
センラ「そらなぁ、ちゃあんと安全に俺んとこ来てもらわな」
そう、どこまでも逃がす気のない彼はもう私に電話をかけてくる時にはタクシーさえ準備するようになっている。
毎度ワンメーター程の距離をわざわざタクシーを使ってまで呼び出すのはもう絶対王政と言わんばかりな気もする。
受取手によっては王子様のようなものなんだろうか。
彼のスマホアプリによって呼ばれたタクシーが着く先にはちゃんと彼の家が設定されているし、そこにはこの酔っ払いがいるわけだけど。
A「んじゃタクシーで帰るよ」
センラ「もうこの時間タクシーおらん」
A「いや、呼べばいるでしょ」
センラ「ええって」
たまには抗ってみようかとタクシーアプリを開こうと手に持ったスマホは彼の手によって奪われる。
向けられている眼はやけにまっすぐで、真剣で。
センラ「ほら、いくで」
A「、、、はい」
歩き出す彼に手を引かれ、見慣れた寝室へと入っていく。
あくまで幼馴染という関係である私達は何事もなく添い寝というものをするだけだけど、、
今日はまあ、なんだろう、たまにある甘えたな日らしい。
センラ「ん、」
共に横になってこちらを向いた彼は腕を広げてくる。
もうわかってしまうのはこの人に染められているからなのか。
A「はーい」
センラ「ん、ええこ」
少しすり寄って彼の胸元に近づくと、その腕でぐいと寄せられ抱きしめられる。
まるで抱き枕のようだな、と思いながらもそのぬくもりにはいつだって絆されそう。
行き場をなくした手がもどかしくて彼の部屋着を軽くつかむと頭上から短い笑い声が聞こえた。
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飴玉(プロフ) - 続き気になります!応援してます! (2019年12月7日 0時) (レス) id: 8c5a0e2b14 (このIDを非表示/違反報告)
のの(プロフ) - 、さん» 設定を誤っておりました。申し訳ございません。修正しました、ご指摘ありがとうございます。 (2019年11月30日 21時) (レス) id: 4b7f932ad4 (このIDを非表示/違反報告)
、 - オリジナルフラグというものをちゃんと外して下さい (2019年11月30日 21時) (レス) id: da04285dd4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のの | 作成日時:2019年11月30日 20時