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A「渉くんはいつも私の前を歩いてて、追いつけないんだよなあ。」
うらた「え?」
A「あのね、本当のことを言うと、ライブで渉くんを見た時、怖くなったの。」
口から出るのは素直な気持ち。
気付いてしまった感情は、きっと私なんかが彼に抱いていいものじゃない。
気付かない方がよかったかも、なんて。
A「小さい頃からずっと渉くんの後ろにくっついてて、追っかけてて、でもある時から遠い存在になって。」
渉くんが覚えているかは分からないあの日、私はすごく悲しくて、泣きじゃくりながら家に帰ったことを覚えてる。
A「そしてまた近くなれたって思ったら、実はすっごくすっごく遠くて、キラキラしてて、私なんかが近くにいたらいけないんじゃないかって思っちゃった。」
へへ、と作り笑いをして顔を上げると、なんとも言えない顔をした渉くん。
困ってるのか、悲しんでるのか、怒ってるのか。
A「だからね、また渉くんとはいつか離れ離れなのかなって、」
そんなの当たり前で、自分で言っておきながら馬鹿だなあと思う。
それに、裏を返せば離れたくないってことになるわけで、いい大人が、そんなわがままを言っていいわけがない。
きっと、困らせてしまってる。
うらた「俺さ、Aが好きだよ。」
A「…へ?」
うらた「子どもの頃から、ずっと。」
私の頭に添えられた手。
そして静かに落とされた言葉は、あまりにも唐突で、私を困惑させるには十分すぎた。
好き?渉くんが、私を?それに、子どもの頃から、、
あの時、拒絶したのは確実に彼だと言うのに。
うらた「気持ちに気づいたのは俺が高校生の時。だけどその頃Aはまだ中学生かそれよりも小さいかで、高校生がそんな子相手に本気で恋してるなんてやばいんじゃないかってめちゃくちゃ一人で混乱した。」
A「っ、」
うらた「それで、Aにひどいこと言った。」
あれ以上近くにいて、日々自覚していくのが怖かったから。
そう続けた彼は、ごめんな、と優しく頭を撫でてくれた。
A「そんなの、ずるいよ…っ」
うらた「もう嫌われてると思ってたし、また普通に話せるようになって、すげえ嬉しかった。」
嫌われてるなんて、そんなの私の方が。
だけどきっと、渉くんが言ってるのは本心で、それが真剣な目から伝わってくる。
うらた「お前何にも変わってないし、でもちゃんと大人になってて、余計に好きだって思った。」
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飴玉(プロフ) - 続き気になります!応援してます! (2019年12月7日 0時) (レス) id: 8c5a0e2b14 (このIDを非表示/違反報告)
のの(プロフ) - 、さん» 設定を誤っておりました。申し訳ございません。修正しました、ご指摘ありがとうございます。 (2019年11月30日 21時) (レス) id: 4b7f932ad4 (このIDを非表示/違反報告)
、 - オリジナルフラグというものをちゃんと外して下さい (2019年11月30日 21時) (レス) id: da04285dd4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のの | 作成日時:2019年11月30日 20時