クール系女子【3】

53話 ページ4

少し先の方で何やら揉めているのか、ちょっとした騒ぎになっていた。

「何だ……？」

それには流石のアドニス君も気付いた様。

どうやらウマの乗馬体験の所らしい。

「行ってみよう」

その声で、私達は駆け出した。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

「え！？大神君？」

騒ぎの中心に居たのは大神君だった。

彼は飼育員に羽交い締めにされ、何かを怒鳴っている。

隣で溜息が聞こえた。

これじゃ、折角皆を誘った意味が無い！

焦って駆け寄ると見慣れた後ろ姿。

「羽風さん！！」

「あぁ、Aちゃん！大神君が乗ってたウマが、乗馬中に暴れ出して……！」

「っ……そんな事って……」

言葉を切ってその方向を見ると、明らかに様子の可笑しいウマが地面に倒れ込んで苦しそうに踠いていた。

その様子は何かを訴えようとしているみたいで私は飼育員と野次馬の間を縫って乗馬の出来る広場まで出た。

「Aちゃん！そっちは危ない！！」

「！早くこっちに戻って来るんじゃ！！」

「おい、あの状態で一蹴りでも食らわされたらひとたまりも無いぞ！！」

「！？家泉！？おいッ！」

皆が大声で叫んでる。

でも、私は静止の声を振り切ってウマへと走り寄った。

「これは……！」

私が見たのは、信じられ無い光景だった。

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