クール系女子【3】

52話 ページ3

「おいおい、どう言う事だよ！」

私に引っ張られた内の一人の大神君が吠える。

「アドニス君が喜びそうな所に行く」

「？俺が……？」

不思議そうに聞いて来る彼を横目に、両手で掴んだ大きな手を引いた。

そして着いたのが、触れ合いコーナー。

まだ分からないのか、眉根に皺を寄せる。

「此処は……」

中に入るとウサギやアヒル、ヘビにカメレオン……小さな生き物が前の方に並んでいた。

チラ、とアドニス君の顔を見ると表情には出ていないものの、瞳がキラキラ輝いている。

可愛くて微笑むと彼はこっちを向いてお礼を言う。

「そこまでの事なんてしてないよ」

近寄るとアドニス君は動物達から少し距離を置いて眺めている。

声を掛けると、どうやら見るのは大丈夫らしいが触るのは怖いらしい。

単純に動物に触れるのが怖いのか、自分の力が強いが為に壊してしまうのではないかという恐れか。

どちらにせよ此処まで来たのだから触って行った方が良い。

近寄って手を取ると、誰も居なかった列に入ってウサギに触れた。

「っ！？」

彼の手に自分の手を重ね、優しく加減しながら背を撫でる。

するとそのウサギは気持ち良さそうに擦りよった。

怖々としていたのも最初の内で、暫く撫でていると抱き上げるまでに慣れていた。

……元々優しい人だから動物も懐くのかな、なんて思ってみる。

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