二十三 ページ25
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「これ……如何いうことですか？」
頭の中には鶴丸さんが浮かんだ。彼の人は刀ではなかった。ちゃんと人間の姿をしていた。
「おかしいだろう？ 刀と同じ名前なんて。偽名か、それとも」
太宰さんはたっぷりと間を置いた。その短い時間さえももっと長く感じてしまう。
「……彼は人じゃないかもしれないね」
「人じゃないって……」
「妖の類いさ」
そう云って笑う太宰さん。非現実的なことを口にされ、僕はどう判断していいか判らなかった。
「なぁんて。冗談だよ。偽名だと思うんだよね。何処かの裏社会の者だったりして」
「なら探偵社にいる理由は……」
「正体を見破られないという絶対的自信があるのかもね」
太宰さんはそれから幾つかの予想できる考えを述べ、喋り終えると本を棚に戻して今にも帰ろうとしていた。
「えっ、帰るんですか？」
「うん」
当たり前だろう、と目が訴えている。
「いや、これを云うために僕を連れてったんですか……？」
「うん」
子供のように返事をされても可愛くない。
「一応考えを共有しておきたかったんだ。何かあの四人がボロを出したら教えてね」
「あっ、待ってくださっ……痛っ！」
太宰さんが戻した本はちゃんと棚に入っていなかったようで、僕の頭に直撃した。角が当たらなかったのは幸いだが、痛いものは痛い。頭をさすって床に落ちた本を拾おうとすると、開かれたページの一文が目に入った。
「三条宗近……？」
「敦君？ って、本が落ちたのかい」
太宰さんは本を拾うと今度はきちんと棚に戻した。
「あっ……」
「如何したの？」
「……いえ」
三条宗近。その名前が引っ掛かる。三条衣真君と三条三日月さんも若しかすると……。
モヤモヤしたまま図書館を出て、僕はこれから彼の三人とどう接すればいいのか考えた。
「島崎さんは……何者だろう」
あの人は刀の名前という感じがしない。抑々他の三人には「主」と呼ばれていた。
刀の名前を持つ者の、主。
彼の人たちが探している人も刀の名前とそっくりだったりして……。ぼんやりとしたまま空を見上げると、また桜が舞っていた。
手を伸ばしても掴めない。ひらひらと頼りなさげに舞う姿は少しだけ儚く見えた。
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織川(プロフ) - カティさん» ありがとうございます！続編でもぜひぜひよろしくお願いします……！ (2018年3月25日 14時) (
レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
カティ(プロフ) - 続編おめでとうございます！とても面白い作品ですね(*^^*)尊敬します！ (2018年3月24日 9時) (レス) id: 0319e8dbc2 (このIDを非表示/違反報告)
織川(プロフ) - 花凪@南アルプス天然水さん» ありがとうございます……！！ (2018年3月21日 14時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
花凪@南アルプス天然水(プロフ) - はい神作。うん。 (2018年3月19日 10時) (レス) id: 883e9e7f0a (このIDを非表示/違反報告)
織川(プロフ) - サッピーさん» ありがとうございます……！ いつもこんな感じでいいのかな、と不安だったのですがサッピー様のコメントで不安吹き飛びました！ 更新がんばります！ (2018年3月5日 16時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：織川 | 作成日時：2018年2月25日 11時
