六十八 ページ32
.
「招かれた……って偶然じゃないのか? 機械の故障で偶々なんだろ」
「いいや。何かおかしいぜ。調べてみる価値があるぞ」
薬研は厚の方を向いて不敵に笑ってみせた。
「森の旦那が帰ってくるまで時間がかかるはずだ。それまで物色すれば何か掴めるかもしれない」
「そうだな、幸いなことに監視役のおっさんたちもいない」
柔らかなソファから立ち上がり、薬研は近くにある棚の引き出しを次々と開けていく。
「始末書が多いな。厚、何か見つかったか」
「特に何も。めぼしいものはないぞ」
「うーん。こういう組織なら高価な絨毯をめくると地下室が……とかあり得るんじゃないか」
「いや……さすがにそれはないだろ」
すると重厚な扉の向こうからボソボソと話し声が聞こえてきた。
「三人か」
部屋に入ってくる様子はない。そのまま通りすぎていったようで、声は聞こえなくなる。
「注意した方がよさそうだな。見つかったらおしまいだ」
「薬研、俺は見張りした方がいいだろ。その方がバレずに済む」
「……それもそうか」
厚は部屋から出て行き、薬研だけが残された。
「さっさと良いもん見つけるか」
次の棚に移ろうとしたとき、奥で物音が聞こえてきた。
「……なにしてるの」
エリスが薬研を睨む。冷や汗が頬を伝った。
692人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
織川(プロフ) - カティさん» ありがとうございます!こちらでもよろしくお願いします! (2018年3月27日 12時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
カティ(プロフ) - 続編おめでとうございます! (2018年3月25日 18時) (レス) id: 0319e8dbc2 (このIDを非表示/違反報告)
織川(プロフ) - ななこさん» ありがとうございます!更新がんばりますね……! (2018年3月22日 20時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
ななこ - 続編おめでとうございます!新着確認したら見つけたのですぐに飛んできました!更新頑張ってください! (2018年3月22日 20時) (レス) id: d4cba68423 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:織川 | 作成日時:2018年3月22日 20時