五十四 ページ17
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夢を見ていた。審神者になったばかりの頃の夢を。
初期刀である加州清光。初めての鍛刀で顕現させた今剣。この二振が始まりだった。
今はとても仲良くできていると思うが、最初はそうでもなかった。
「島崎Aと申します」
堅苦しい挨拶を抜き、簡潔に名前だけ伝えると二振はどうしていいのか判らず、此方を見つめ返していた。重苦しい空気が続き、今剣があの、と声をあげる。
「いま、ここにはぼくたちしかいないんですよね? いつかみんなきてくれるんですか? 岩融とか!」
岩融。刀派は同じ三条で薙刀だったはずだ。顕現させるのには時間がかかると父に云われている。私は曖昧に頷いた。
今剣を顕現させて暫くした後、私は他の刀を鍛刀することも出陣させることもなく、資料整理や本丸の掃除にとりかかっていた。
「主ー。俺もなんか手伝う?」
「いえ、結構です」
どう喋ればいいのか判らない。会話は長く続かないし互いの好みを知り尽くしているわけでもない。時間だけがただ過ぎていった。
……ここからどうやって仲良くなったっけ。ぼんやりと考えるが思い出せない。なんだっけ。なんだったっけ。
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織川(プロフ) - カティさん» ありがとうございます!こちらでもよろしくお願いします! (2018年3月27日 12時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
カティ(プロフ) - 続編おめでとうございます! (2018年3月25日 18時) (レス) id: 0319e8dbc2 (このIDを非表示/違反報告)
織川(プロフ) - ななこさん» ありがとうございます!更新がんばりますね……! (2018年3月22日 20時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
ななこ - 続編おめでとうございます!新着確認したら見つけたのですぐに飛んできました!更新頑張ってください! (2018年3月22日 20時) (レス) id: d4cba68423 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:織川 | 作成日時:2018年3月22日 20時