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三十八 ページ1

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太陽は沈み、辺りは茜色に染まりつつあった。親に迎えられて帰る子供たち、騒がしかった公園は一気に静まりかえった。今剣は岩融に抱きつき、かえりましょうと私に声をかける。


「……最近、歴史修正主義者を見かけませんね。気配すら感じられない」


此処に来て数日の間は歴史修正主義者の殺気に包まれて落ち着かなかった。今ではそれが嘘のように感じられる。


もうこの時代に留まる気をなくしたのだろうか。それはそれで好都合だ。


「まぁ警戒はしといた方がいいだろう? 油断してる所を奇襲されちゃあ困る」


ゆっくりと本丸で過ごしていた日々が懐かしい。それなりに任務をこなして皆とよく遊んでいた日常を早く取り戻したい。


「……帰りましょう」


探偵社に着くと丁度警察の方とすれちがった。軽く会釈し、社内へ入る。


「あ、島崎さん。現場検証終わったみたいですよ。矢っ張りポートマフィアの仕業らしくて……」


中島さんの言葉で芥川と死体を発見した時のことを思い出した。岩融さんとの再会に喜びすぎていたためその時の記憶は少し薄れている。


死体を見たのに薄情な者だ、と罵られるかもしれないが仕事柄そういう類いのものには耐性がある。刀剣男士たちの元の主の凄惨な人生を聞くと普通の死体じゃあ驚けない。


「解決しそうですか?」


「少し難しいと思うよ」


太宰さんが割って入ってきた。後ろに控えている鶴丸さんと三日月さんの殺気が揺らめくのが判る。彼の二人太宰さんのこと相当警戒してるからな……。


「ポートマフィアは隠密に事態を済ませるからね。足はつかないように対策は練っているのさ」


ふと、太宰さんは時計を見つめた。退社時間を数分過ぎている。


「私は帰るよ。それじゃあね」


ヒラヒラと手を振り、国木田さんの報告書を急かす声から逃げていく。すると私にそっと近づいて耳打ちした。


「明日、彼の四人抜きで会えないかな? うずまきでお茶でもどう?」


「嗚呼、デートのお誘いですか?」


口ではそう云っても内心違うだろ、と否定していた。太宰さんの目は笑っていない。楽しく話し合うことはできなさそうだ。


「じゃあ……十時に喫茶うずまきで」


はい、と返事をした。語尾は少し震えていた気がする。鶴丸さんと三日月さんが彼を警戒する意味が少しだけ判った気がした。

三十九→



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織川(プロフ) - カティさん» ありがとうございます!こちらでもよろしくお願いします! (2018年3月27日 12時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
カティ(プロフ) - 続編おめでとうございます! (2018年3月25日 18時) (レス) id: 0319e8dbc2 (このIDを非表示/違反報告)
織川(プロフ) - ななこさん» ありがとうございます!更新がんばりますね……! (2018年3月22日 20時) (レス) id: f371f8209b (このIDを非表示/違反報告)
ななこ - 続編おめでとうございます!新着確認したら見つけたのですぐに飛んできました!更新頑張ってください! (2018年3月22日 20時) (レス) id: d4cba68423 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:織川 | 作成日時:2018年3月22日 20時

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