57話 ページ8
しばらく玄関でぽろぽろ泣いていたが、未だに涙が止まる気配がなくて、どうしよう、坂田さんを困らせてしまうと思ったその時、すっと身体が浮いて、びっくりして涙でぐちゃぐちゃの顔を彼に向けると優しく微笑まれ、どきっと胸が高鳴る。
リビングに運ばれると優しくソファに座らせてくれた後、たたたっと足早にリビングを出ていって、部屋着一式を持ってきてくれた。
『あっち行ってるからここで着替えていいよ』
と言って彼が指さしたのはお風呂の方だった。
しかし、なんだか離れて欲しくなくて
「ここにいて、」
なんて馬鹿げたことを言ってしまった。
『いや、でも…ね?』
予想通りの返答が帰って来て、それでも居て欲しくて、ワガママを言う。
「あっち向いてたら見えないからそれじゃだめかな…」
『わ、わかったから!』
くるりと背を向けられたので、出来るだけ早く着替えを済ます。
「ん、着替えたよ」
あっちを向いていた彼を覗き込むと頬が少し赤く染まっていた。
そんな可愛くてカッコよくて優しい彼にもう一度包まれたくてお願いした。
「坂田さん、ぎゅってして?」
坂田さんは何も言わずに抱き締めてくれた。
傍から見れば恋人同士なのだろうか、まあそんな関係ではないが、“彼と”こうしてる時間が1番幸せなのだ。
もう自分に嘘はつけない。
“私は坂田さんのことが好きだ”
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織姫(プロフ) - スイさん» ありがとうございます!こちらこそ読んでいただきありがとうございました! (2020年3月31日 10時) (レス) id: f7e683a78b (このIDを非表示/違反報告)
スイ(プロフ) - 完結おめでとうございます。最後までとても素敵なお話でした! (2020年3月30日 23時) (レス) id: a62436f372 (このIDを非表示/違反報告)
織姫(プロフ) - ちょこさん» ありがとうございます(^^)これからも頑張って書きます (2020年1月25日 12時) (レス) id: f7e683a78b (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - この作品好きです!続き楽しみに待ってます! (2020年1月23日 21時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
織姫(プロフ) - すとぷり好きの坂田家さん» ありがとうございます。これからもゆっくりですが更新頑張りたいと思います (2019年9月16日 9時) (レス) id: f7e683a78b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:織姫 | 作成日時:2019年9月3日 17時