68話 ページ19
坂田さんがそれを見て無言でこちらにやって来て、男がナイフを持っている方の腕を握って、私を拘束している腕を振り払い、男を突き飛ばす。
その際に坂田さんはよろけた私の腕を掴み、助けてくれた。
「さかたさん、…ありがとう」
私がそう言うと何も言わずに頭を撫でてくれた。
少し安心したのもつかの間。
突き飛ばした男が立ち上がって、私を刺そうとしてきた。
しかし、そのナイフが私に届くことはなかった。
行き場を無くしたそれは坂田さんの横腹にぐさっと刺さって、狙いが外れた男は少しだけ戸惑ってから彼の腹に入ったナイフを下方向に動かした。
『…ッ…!…』
坂田さんはぐたっと私の方にもたれかかって、痛みに耐えながら横腹を抑えて、意識を落としていった。
「坂田さん、!!!」
『坂田!!!』
どうしたらいい、私は今、何をすべきなんだ。
パニック状態で、わからなくなっている。
「…ぁ…」
『A、目、瞑ってて』
私が悠長に目を瞑ってる内にお兄ちゃんも坂田さんみたいになったら、嫌だ。
「…ぅ…」
『大丈夫、だからちょーっとだけ。ね?』
「…ん…」
そう言われて目を瞑ると、どたどた、と物音だけが聞こえる。
しばらくすると、お兄ちゃんから声をかけられた。
『A、目、開けていいよ』
「…ぇ…」
お兄ちゃんの指示通り目を開けるとその場に居たのはお兄ちゃん、志麻さん、センラさん、警察官たちだけで坂田さんを襲った男も、坂田さんも居なくなっていた。
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織姫(プロフ) - スイさん» ありがとうございます!こちらこそ読んでいただきありがとうございました! (2020年3月31日 10時) (レス) id: f7e683a78b (このIDを非表示/違反報告)
スイ(プロフ) - 完結おめでとうございます。最後までとても素敵なお話でした! (2020年3月30日 23時) (レス) id: a62436f372 (このIDを非表示/違反報告)
織姫(プロフ) - ちょこさん» ありがとうございます(^^)これからも頑張って書きます (2020年1月25日 12時) (レス) id: f7e683a78b (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - この作品好きです!続き楽しみに待ってます! (2020年1月23日 21時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
織姫(プロフ) - すとぷり好きの坂田家さん» ありがとうございます。これからもゆっくりですが更新頑張りたいと思います (2019年9月16日 9時) (レス) id: f7e683a78b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:織姫 | 作成日時:2019年9月3日 17時