其の参拾参 ページ3
具合でも悪いんでしょうか。と心配そうな千鶴を余所に、あはは、あれね。と総司は柱に身を任せ腕組みし笑った。
その視線の先にはわたわたしている平助とまた眠りの国へいってしまいそうなA。
「Aね、朝にめっぽう弱いのよ」
「え?でも昨日は…」
「うん。なんかね、すっと目が覚めるときとそうでないときの落差が激しいんだって」
自覚あり。面白いよね。と総司はくくっと笑みを溢す。
千鶴もAが朝に弱いということは承知していた。
『おはよぉ。千鶴ちゃん…』
『おはようございます、Aちゃん。眠そうだね』
『うん、ほんっとに…』
なんてこんな朝のやりとりを、ここ屯所でお世話になりはじめてから何度してきたことか…。
というか、あの状態ですっと目覚めたと言えるのだろうか。
などという際どく難しい問題はさておき、ここまで酷い状態のAを目にするのは初めてであった。
とろんとした瞳…
艶やかな唇…
はだけた着衣…
基が美しい上に、そんな状態のAの姿は同姓である千鶴でも見とれてしまう。
目を奪われてしまう。
「まあ、そのうち馴れるよ」
「は、はあ…」
皆もう慣れっこだよ。と総司。
果たして実際そうなのであろうか。
疑り深いようだが、皆馴れているとはいえ、隊士がAに変な気を起こさないという完全なる保証はない。
ただでさえここ屯所は男所帯である。
夫がいたとしても不安要素は多くある。
千鶴はその面だけは未だ隊士を信用出来ていなかった。
平助くんがいないときは私がAちゃんを守ろう。と総司の傍らで平助を見つめて、心で強く決心した千鶴であった。
ハッピー声優
桑島法子
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帰蝶(プロフ) - 凄く楽しく読ませて頂きました!読んでいてワクワクドキドキしました!日々忙しいたは思いますが、次の更新を楽しみに待ってます!これからも頑張って下さい!応援しています! (2018年11月7日 22時) (レス) id: 07fa8ea693 (このIDを非表示/違反報告)
岩崎美優(プロフ) - 何なんですか、この小説!面白すぎます!続き楽しみにしてます。 (2018年9月27日 14時) (レス) id: 549432b843 (このIDを非表示/違反報告)
佐々木 - 素敵な作品に出逢えたこと、光栄に思います。 (2018年7月11日 0時) (レス) id: 01563daeb1 (このIDを非表示/違反報告)
妃粋(プロフ) - お雪さん» よかったです!嬉しいお言葉ありがとうございます! (2018年5月27日 12時) (レス) id: adac1c452c (このIDを非表示/違反報告)
お雪 - すごく面白かったです。藤堂平助さんがもっと好きになっちゃった (2018年5月20日 14時) (レス) id: 89f56691f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:妃粋 | 作成日時:2018年3月14日 23時