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なるせを迎えに行って久しぶりに会ったが、全然いつもの調子とは違うなるせ
まるで、初めて待ち合わせをして会った時のようだった
あの時も照れくさいとか言って口数が減っていた
こりゃちょっと慣れるまで待つしかないな、と思っていたが、案外時間がかかる・・・
もうお鍋の食材も買い込んで、私の家に着こうかというところだ
少し休憩がてら緊張をほぐしてもらおうか・・・
なんて考えながら家に到着した
「お邪魔します・・・」
と明らかにさっきよりも大人しくなったなるせ
2人で買ってきた食材を冷蔵庫にしまい、少し休憩することにした
先にソファーで座っててもらって、暖かい飲みものを持って隣に座る
借りてきた猫のように大人しくなってるなるせ
「なるせ?」
「ん?」
「ちょっとお昼寝する?」
小さく うん と頷いたので、2人でソファーからおり、ラグの上に寝転ぶ体制を整えた
ずっと車だったから寝そべるのはすごく気持ちいい
「はい、今日は私が腕枕してあげるーおいで」
瞬間に目を丸くしたなるせ
今まで一度も腕枕なんてしたことなかったが、初めてなるせの家に行った時、この腕枕でずいぶん緊張がほぐれた思い出があった
だから今日は私が腕枕をしてあげよう、と思いついたのだ
驚きはしたものの、ゆっくりと私の伸ばす腕に頭を寄せてきたので、私も頭を腕で包み込み、もう片方の腕でもぎゅっと抱き締めた
私よりもがっしりした体格だが、こうして抱き締めてみると、胸に顔を埋める様子は子供みたいでなんか可愛い・・・
これが母性本能をくすぐられる、ということなのだろう
そんなことを考えながら、なるせの頭をゆっくり撫でていると、小さな声が聞こえてきた
「Aさん?今日、さ・・・ごめんね」
「なにが?」
「普通に話せなくて・・・」
顔が見えないから、少し話しやすくなったのか、ポツポツ話し始めてくれた
「今日Aさんの家来るの楽しみ過ぎて寝れなくて、電車の中でも寝れなくて、緊張し過ぎちゃった」
と言いながらぎゅーっと腕の力を込めたなるせ
なんて可愛い理由なんだろう、と思うと頬は勝手に緩んだ
「じゃあ、ちょっと寝たら元気になるかな?」
「たぶん・・・いま子供みたいっておもっただろ」
そんなことないよーと言いつつはぐらかしていると、すぐに静かな寝息が聞こえてきた
起きたらいっぱい話そうね・・・と思いながら私も目を閉じた
【緊張を解すにはゆっくりしよう編】
fin.
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作者名:カニカニハンマー | 作成日時:2021年11月30日 19時