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「五条、Aが珍しくここまで譲らないんだ。理由位聞いてやれ」
硝子に言われて、五条もやっと気が付いた。
(言われてみれば…今まで僕の気持ちを汲んでくれていたAが……)
初めて自分の意見を曲げようとしない。
それに気が付いて、やっと相手の気持ちを聞くだけの落ち着きを取り戻した。
「A。何で色打掛で洋髪にしたいの？」
五条の落ち着いた言葉に、Aは少しの間を置いてゆっくり話した。
「…祈お母さんから、良かったら自分の嫁入りの時の色打掛を着てみないかって、この前電話があったの」
刻刃の本邸が焼かれる前に隠し別邸に運び込んでいたらしい。
『将来、Aが結婚する時の衣装の候補にどうかなって、残していたの』
祈がそう言っていたらしい。
出来れば、それを着たいのだと言う。
「写真を見せて貰ったらその打掛は……」
Aはほんのり頬を染める。
「私の一番好きな、悟さんの瞳と同じ空色の打掛なの」
「！！」
五条の体がピシリと固まった。
Aにつられるように、顔が熱くなる。
(Aが空の青色を好んでいるのは知っていたけど……)
それが五条の瞳が由来していて、しかも一番好きな色だと言うのは初めて知った。
「それに洋髪にすれば、悟さんがくれた簪と合わせられるでしょう？」
(何その可愛い理由！！)
新妻の理由は言い換えれば「夫の瞳の色に染められたいから」だ。
愛しさの余り、身悶えそうになるのを五条は必死で堪える。
少し離れた所でコーヒーを飲んでいる硝子の目は、此方を見てにやけている。
多分、Aの空色が好きな理由を知っていたのだろう。
Aも、話している内に大分冷静さを取り戻したらしい。
「でも、悟さんが白無垢が良いなら……わっ！？」
最終的に折れようとしたAを五条は抱き締める。
「色打掛にしよう。ううん、して下さい！僕の色に染まって下さい！！」
愛しい妻の優しさに甘えて来た自分が、ここで優しくしなければ男が廃る。
(何より、僕の瞳の色に染まった花嫁姿を見たい！！)
五条は初めて、Aに対して自分の方から折れた。
後で怒られるのは想像出来たが、仲直りの意味も込めて、五条は硝子の目の前でAに熱烈なキスを贈った。
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露里唄(プロフ) - キャッスさん» ありがとうございます。最後まで書き切れるよう頑張ります。のんびり更新なので、気長にお待ち頂けると嬉しいです。 (2022年4月10日 14時) (
レス) @page9 id: 29cf707392 (このIDを非表示/違反報告)
キャッス(プロフ) - 続き楽しみにしています！頑張って下さい！ (2022年4月10日 5時) (レス) id: c645bbf7af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：露里唄 | 作成日時：2022年3月6日 2時
