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四輪 ページ5

「重っ…」


お汁粉の入ったビニール袋を揺らしながら
真ちゃんが待っているところまで走る


何だよ、まったく


いつもの自販機にお汁粉がないからって、
俺を買いに走らせるってどうなんだよ


じゃんけんに負けたのは俺だけどさ


さすが我が秀徳のエース様


傍若無人な態度は相変わらずだ


「しっかし、不思議だよな…」


今しがた別れてきた女の子を思い出す


彼女の昔の友人もお汁粉を飲んでいた、そう言っていた


不思議な縁もあるもんだ


そんなことを思っていると目の前には見慣れたチャリアカーに長身のシルエット


そのそばに明らかに不釣り合いなかわいい
ぬいぐるみ


朝見た時も思ったけど、ずいぶん変な絵面だな


吹き出しそうになるのをこらえて、
声を張り上げる


「おーい、真ちゃん!!」


声をかけるとゆっくりと振り向く真ちゃん、
もとい緑間真太郎


額に青筋が立っていることからすると
かなりご立腹なようだ


「遅いのだよ、高尾」


明らかに不機嫌なエース様


「わりーって。
 なかなかお汁粉見つけるの大変だったんだぜ?」


ずいっとお汁粉を目の前に出すといくらか表情は和らいだみたいだ


「ふん。だからと言って、いくらなんでも遅すぎなのだよ」


お汁粉の缶を開けながら不機嫌そうに
言葉を並べる


「仕方ねーだろ。
 今のご時世、お汁粉飲む奴なんてそうそういないって」


「俺が飲んでいるのだよ」


「うん、まあ、そうだけどさ」


苦笑いしながらそう答える


相変わらず自分本位だな


「む…」


「どったの?」


真ちゃんは俺の持っていたビニール袋を見ながら言った


「高尾、どこでこのお汁粉を買ってきた」


有無を言わせないような低い声


「どこって、駅前のスーパーだよ」


「駅前?あそこにはお汁粉はないはずだが」


当たり前のように言う真ちゃん


ってか駅前にないこと知ってたなら
教えろっつーの


「大きい駅じゃなくて小さい駅前。ここから十分、十五分したところにある駅だよ」


そう言うと真ちゃんは訝しげに眉をひそめた


「薄い赤い看板の店か?」


「そうだよ。よく分かったな」


そう言うと、なぜか少し顔を曇らせながら呟いた


「…昔よく行ったのだよ。
 …しかしよくこの店が分かったな。
 結構道が入り組んでいたと思うが」


「あー、道案内してもらったんだよ。
 スーパーで会った女の子に。
 お汁粉探してるって言ったら、店教えるって。
 誠凛の制服着てた」

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作者名:ルナ | 作成日時:2014年6月28日 16時

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