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三十九輪 ページ40

「真奈−」


息抜きがてらテレビを見ていると母親に声をかけられた


「何ー?」


「ちょっとおつかい行ってくれないかしら?これからレッスンで買い物行けないのよ」


「…うーん」


外はかんかん照り


見るからに暑そうだ


そんな中、外に出るよりクーラーの利いた部屋にいた方がはるかにいい


「ね?お願いよ」


手を合わせお願いをする母親


その様子を見て仕方なしに頷く


財布と買うもののメモを持って家を出る


思った通り、外は暑い


雲一つない青空


こりゃ焼けるな


すぐそこのスーパーだと思って日焼け止めを塗らなかった自分を後悔した


スーパーに入って目当てのものを探す


ひき肉、人参、玉ねぎ、キノコ…


今日の夕飯は煮込みハンバーグだろうな、と思う


それにしても意外と量が多い


買い物袋パンパンの荷物


これならおつかいを断ればよかった、と今更すぎる後悔をする


「ありがとうございましたー」


やる気のない店員の挨拶を背にスーパーを出る


「暑っ…」


容赦のない日差しが私を襲う


買い物袋を持ち直して家路をたどる


何気なく見た路地の先に見えた、どこか懐かしい店


薄い赤い看板の店


「まさか…」


小さな好奇心で路地を歩く


数分してたどり着いたのは緑間に教えてもらったあの店だった


「意外と家から近かったんだ…」


店内に入り、緑間と来た時のようにお汁粉をとる


彼と帰らなくなってからここに来るのも減ってそれに比例するようにお汁粉を飲む機会も減った


どうせだから買っていこう


そう思ってお汁粉を手にレジに向かおうとした時に、誰かにぶつかってしまった


その拍子に相手の持っていた物が落ちてしまった


「っ…、すみません!」


慌てて謝って落ちた物を拾い上げる


落ちていた物は制汗スプレー


わざわざ手に持たなくても…


そう思いながら渡そうと思って顔上げて、相手の顔を見る


「っ…!」


思わず絶句してしまった


「…川田……」


私の目の前に立っていたのは緑間だった

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作者名:ルナ | 作成日時:2014年6月28日 16時

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