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二十輪 ページ21

いつもより早めについた教室


まだ誰も来ていない


今日は特別教室での練習だったため、職員室で鍵を受け取り、音楽室へ向かう


誰もいないことをいいことに、ピアノの前に座る


しんとしている音楽室はどこか奇妙だ


指先で鍵盤をたたいていく


一粒の音が弱々しく響く


はじめの和音を試しに弾いてみる


……痛くない


突き指をしてしまった指の音はいつもより弱かったけど、素人には気付かないほどの変化だ


大丈夫、大丈夫


ちゃんと弾ける


そう思った瞬間、表情が緩んだ


心の中ではガッツポーズである


その後、何度も和音の部分を弾いても痛みはなかった


全くないと言えばウソとなる


しかし我慢できるくらいの痛みである


(これなら…)


そう思い、曲のなかで一番難しい部分を弾こうとした時


「おはよう」


入ってきたクラスメートたち


私は慌てて鍵盤から手を離した


「あれ、真奈ちゃん早いねー」


人懐っこい笑顔を浮かべるクラスメートに笑って応対する


その後も続々と来るクラスメート


あっという間に全員が揃い、合唱練習を始める


(結局、あの部分弾きそびれちゃった…)


課題曲を歌いながら頭の片隅で思う


でも大丈夫だろう


そんな自信がこの時の私にはあった

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作者名:ルナ | 作成日時:2014年6月28日 16時

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