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十六輪 ページ17

何事もないように終わると思った合唱コンクール


しかしそう簡単には行かなかった


事態が急変したのはコンクールの3日前


その日は体育の授業があった


男子と女子に分かれてのバスケの授業


運動が苦手な私


昔から休みの日などは家で本を読むのが好きだという生粋のインドア人間


そんな私が運動などできるわけがなかった


だから隅の方で無害でいようと思ったのに


なぜか隅にいる私にボールが回ってきたのだ


「川田さん!」


名前を呼ばれて慌ててボールを取ろうとした瞬間、指に走った鈍い痛み


「っ……」


ボールはそのまま体育館の隅へと転がっていった


痛む方の指を反対の手で押さえる


けれどジンジンと内側からくる痛みはなかなか消えない


様子の違う私に気づいたのか、クラスメイトが心配そうに寄ってくる


「真奈ちゃん、どうしたの?」


「大丈夫?」


口ぐちに言われる心配の声にひきつった笑みで応える


「川田、大丈夫か?突き指したのか?」


体育の先生の言葉に一瞬にして辺りがざわつく


「え、川田さん突き指したの?」


「自由曲の伴奏、どうすんだろ…」


「今更、代理見つけるとか不可能じゃね?」


ひそひそと話される言葉に敏感に反応する


(そうだ、伴奏…)


頭の隅に浮かんだ不安が途端に大きくなる


(まだ分からない…)


保健室に行くまでの道のり、必至に不安を押し殺していた

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作者名:ルナ | 作成日時:2014年6月28日 16時

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