十二輪 ページ13
「ありがとう、川田さん!」
指揮者の子は嬉しそうに顔を綻ばせた
でもそれはすぐに消えた
「あ、でも…。もう一人必要なんだよね」
「…そうなの?」
てっきり私が了承すれば終わる話だと思っていたのに
「課題曲と自由曲。どっちも頼むわけにはいかないし」
(めんどくさいな…)
また話はふりだしに戻ったわけだ
「別にいいよ。両方私がやるよ」
仕方なしに声を上げると彼女は首を振った
「一人に責任を押し付けるわけにはいかないよ」
じゃあどうするのよ
そう口から出かけた言葉を飲み込む
数分の沈黙
「…俺がやるのだよ」
特徴的な語尾
その人物の声に誰もが驚いた
「緑間くん!?」
指揮者の女子は驚いたように声を上げる
「緑間くん、バスケ部でしょ?練習大変じゃ…」
「問題ない。自主練の時間を少し短くすればいい話なのだよ」
眼鏡のブリッジを上げなら彼は言った
「俺が引き受ければ川田一人に責任を負わせることもないと思うが?」
指揮者の子はうろたえながら渋々頷いた
「じゃあ、伴奏者は川田さんと緑間くんにお願いします」
意外な人物の立候補に皆驚きながらも、
その言葉に拍手した
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作者名:ルナ | 作成日時:2014年6月28日 16時