一輪 ページ2
新緑が眩しい五月の半ば
行われているHRを横目で見つつ、
私は小さくあくびをした
「眠いの?」
隣の席の琴音が苦笑いしながら問いかける
「昨日遅くまで起きてて」
そう昨日は眠れなかったのだ
やけに目が冴えていて
「勉強?」
「まさか」
呆れたように言う私に琴音は小さく笑った
前に向き直るとHRは
ちょうど終わってしまっていた
「真奈!琴音!帰ろう!!」
名前を呼ぶ声に顔を上げる
茶色の髪。香芝奈津美だ
「あれ、なっちゃん。今日部活は?」
そう不思議そうに琴音は問いかけた
バレー部に所属している奈津美はそうそう一緒に
帰ることはない
「今日は休み。なんかバスケ部が使うらしいの」
「バスケ部!?」
琴音が嬉しそうに声を上げる
何でもバスケ部で同中だった黒子が好きらしい
頬を桃色に染めて笑う琴音はかわいい
「どうせなら見ていく?」
奈津美の言葉に琴音は勢いよく頷いた
「真奈はどうする?」
「あー…。私はいいや」
奈津美の言葉に目をそらしながら言葉を紡ぐ
正直あまり同中出身の人と関わりたくない
(奈津美と琴音は別)
琴音が黒子のことが好きなら、きっと話しかけに
行くだろう
同中で、しかも黒子と関わるなんて御免だ
「真奈行かないの?」
琴音が申し訳なさそうに聞く
私情で彼女の恋路を邪魔するつもりはない
「大丈夫、二人で行っておいでよ。
私どっちにしろお母さんに買い物頼まれているから」
微笑みながら言う私に琴音は安堵の表情を
浮かべた
「真奈もこう言っていることだし、
琴音行こうか」
奈津美はリュックを背負い直しながら言った
「うん。ごめんね真奈。また明日!」
手を振る二人に笑いながら応えた後、
私も静かに教室を出た
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作者名:ルナ | 作成日時:2014年6月28日 16時