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二十話 ページ22

 ナイトレイブンカレッジの学園長、クロウリーは困っていた。

 そうすればいいか判らなかった。
 
 目の前の少年がずっと睨んでいるからである。オクタヴィネル寮のメンバーから「なにやら特殊な魔法を使うヤツを連れてきた」と言われ全寮長を連れて来てみれば、自分の向かいの席でじっと、一言も話さず。自分を睨んでいるからである。


「ちょっと、Aさん。そろそろ喋ったらどうですか?」


 ふぅーとこめかみを触りながらどこかそう言うアズールに、ぎょろり、という迫力を帯びた視線を目の前の少年はアズールに向けてきた。
 どこか、恨みをこめた視線に、アズールのよこで様子を見守っていたリドルが額に汗を浮かべながら問いかける。


「アズール……君、この子にいったい何をしたんだい?ただならない雰囲気だよ」
「ご安心を、リドルさん。これといって何もしていません。``僕``は」


 少し顔を悪くしてそういうアズールにリドルは困ったように谷より深いため息を吐いた。

 クロウリーは「皆さん、お静かに」と声をかけると、問題児だらけの寮長で唯一一番まともだと思うリドルに視線だけでどうするか、と問いかけた。しかしリドルはクロウリーの視線を気づいていないような素振りで石のように顔を崩さない。


「………人間に、あんな扱いはないと思う。アズールさん」


 そうボソッという声が聞こえた。「おい、タコ野郎マジでこいつに何しやがった」流石にほっとけなかったのか病み上がりのレオナがアズールを睨む。流石にここまで来たら手に負えなかったのだろう。聞けば、この少年は珍しい魔法を使っていたため危険も考えて武力でこちらに連行してきたらしい。


 話が脱線しかかけそうになるところでクロウリーがAの目の前に来る。


「どこかで見たことがあるような、顔だと思ったら……、貴方、失踪していた生徒さんではないですか」


 その問いかけに、ピクっとAの身体が反応する。「あ、俺ってここの生徒だったの?」


「実は、入学前日に二頭の黒い馬が馬車も連れずに戻ってきてですね。何があったのか聞いても、どちらともパニック状態で聞き取りは不可能と判断し、行方不明という形でいたのですが……。死んでなかったんですね?」


 物騒なことをブツブツとのたまうクロウリーにAは勝手に殺すな、と愚痴を零すが。正直どうすればいいかわからなかった。俺がもしここの生徒だとジジイにどう説明すればいいか分からない。

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レオ - とっても面白いです。続きが気になります。 (1月4日 8時) (レス) @page48 id: 8c9a5c91e3 (このIDを非表示/違反報告)
夕闇柳 - たまたま30話見ていてカリムがカルムになっていました。 (11月25日 8時) (レス) @page31 id: a9dd4c9262 (このIDを非表示/違反報告)
ウイ(プロフ) - ふぎょあ、完結されてるんですね…この作品、めちゃ好きです。まだ占ツクにログインしてなかった頃、読みまくってました笑 ねっとり様に届くか分かりませんが、更新、お疲れ様でした。ほんとに本当にこの作品がこれからも大好きです!!!!!! (6月26日 7時) (レス) @page48 id: 154e73901c (このIDを非表示/違反報告)
ねっとり - 雨中猫さん» アカウントを作っていなので急遽この形ですが作者です。コメントありがとうございます。「命に嫌われている」素敵ですよね、番外編でも他の歌とかも書いてみたいので気長に待ってくれると嬉しいです (2022年2月5日 23時) (レス) id: ad0790befa (このIDを非表示/違反報告)
雨中猫 - 主人公ちゃんに命に嫌われている歌ってもらいたいです! (2022年2月4日 19時) (レス) @page27 id: 79b86edfa1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ねっとり | 作成日時:2022年1月20日 16時

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