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彼女の部屋は、至ってシンプルだった。
机に綺麗に並べられた教科書やノート、本棚には参考書や小説。
この年齢にしては質素に感じるが、大人びて聡明なAらしいといえばそうだ。
「…具合、大丈夫かい？」
家に着いたからだろうか、随分と落ち着いた様子なのを見計らって声をかける。
「大丈夫だって夏油さんが確認してたじゃないですか、その手で」
「傷の事じゃないさ」
鞄を置いた彼女に近寄り、こちらを向いたその両耳にそっと手を当てる。
スリ、と指の腹で擦ると、擽ったいのかAは目を瞑る。
お世辞にも元気とは言えないが、先程よりは幾分と良さそうだ。
その表情は、一応年頃の私の前では無防備すぎる気がするが。
「…音、だね。あとは匂いと視覚、もしかして五感全てかな？」
「………何の話、ですか」
「バレてないとでも思ってるのかい？呪力もこんなに垂れ流しているのに」
「っ、」
目を逸らしたAの顔をもう一度こちらに向け、目を合わせる。
今の状態は、常に呪力で五感を強化している状態のように感じる。それも全力で。
大量の呪力を持つようになったから適応できていないのかもしれない。
「…私の式神、居ますよね。狐」
「さっき見せてくれた2匹だね」
「はい。あの子達の感覚を利用出来るみたいなんですけど、今は全く制御出来ないんです」
「だからそんなに疲弊しているのか」
要は、狐本来の鋭い感覚を利用することができるが、それをまだ扱いきれず、無意識に呪力が流れっぱなしになってしまっているらしい。なるほど。
店であの反応だったということは、1日過ごした学校ではもっとストレスだったに違いない。こんなに呪力が垂れ流れていて、呪霊が寄ってこなかったことが唯一の救い、最早奇跡だろう。
その時、ガチャリとドアが開いた。
「ご飯出来たわよ。ってあれ、お邪魔しちゃった？」
「…お母さん、ノックは？」
Aの顔に手を添えている自分達の距離感を勘違いされたらしく、Aはジト目で母親を見つめていた。
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ユコ(プロフ) - 緑の白猫さん» 展開スピードは自分の中で1番心配していた所なので、そう言っていただけて嬉しいです！ありがとうございます (2021年3月1日 21時) (
レス) id: cf63eb9bb2 (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - 展開やストーリー構成が急展開過ぎず、読んでいてとても心地良かったです。 (2021年3月1日 15時) (レス) id: 41276e8159 (このIDを非表示/違反報告)
ユコ(プロフ) - 五条と夏油はイニシャル一緒さん» ありがとうございます！私もげとーさん好きなので頑張りますね^^ (2021年1月24日 7時) (レス) id: cf63eb9bb2 (このIDを非表示/違反報告)
五条と夏油はイニシャル一緒 - 面白いですー！夏油さん好きなので嬉しいです、応援してます！ (2021年1月24日 1時) (レス) id: f43ac37e04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユコ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/oorsayui/
作成日時：2021年1月19日 12時
