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「A、」



傍に駆け寄ると、彼女は全身から出血をしていた。
硝子に治療してもらおうと声を掛けると、帳を解除した補助監督が慌ただしく走ってきた。



「君たち無事祓い終えたんだね、よかった………その子達は?」
「巻き込まれた一般人と、それを護っていた呪術師です」
「呪術師…?まだ中学生かそこらじゃないのか?」
「てかそういうアンタは今の今までどこに居たんすか???」



補助監督にメンチを切る悟を仕方なく止める。
彼女が何故、急にあれだけの出力で呪術を発揮できるようになったのか、あの御守りとの関連はあるのか、分からないことだらけだ。
でも1つ確実に言えるのは。



「…立派な呪術師ですよ、Aは」



蠅頭すら祓うのを躊躇していたあの時とは全く違う目をしていた。
きっかけは今日だったのかもしれないけれど、呪術を使うことに明確な意思が感じられた。信念のようなものが。

硝子に呼ばれて治療されているAの側へ行くと、帳の外にいた女性が近付いてきた。
補助監督が間に入るも、何食わぬ顔でAの鞄を拾いつつこちらへ歩いてくる。



「…随分と派手にやったわね、この子は」



屈んでAの腹部に手を添える。
動揺するような雰囲気はなく、どちらかと言うと困ったように笑っていた。



「呪力はまだ不安定ね、急だったから仕方ないか…あら、あなた反転術式使えるの?」
「え?まあ、そうですけど」
「聞いていた通り今年の1年は優秀なのね、ありがとう」



高専の事情について詳しい。関係者のようだ。
夜蛾先生より少し若いくらいに見えるが、補助監督も知らないとなると窓か元呪術師といったあたりか。
よし、と発したその女性は、血塗れのAを気にすることなく背負った。
治療がまだだと硝子が止めるが、有無を言わせない笑顔を見せる。



「後は家でするから大丈夫よ。でもあなた達が居なかったらAは死んでいたわ。礼を言うわね」
「…あなたは誰です?」



一方的に正体を知られているというのはあまり良い気分ではない。
その問いも女性はニコリと笑って躱すと前髪が揺れ、隠れていた右目が現れた。
澄んだ左目と白く濁った右目でしっかりとこちらを捉える。



「名乗るほどでもないよ。ただの元関係者だからね」
「そうは言っても…」
「じゃあ行くね、一応この子死にかけだし。
あ、…夜蛾くんによろしくってだけ伝えといて?」



そう言い残し、近くに止めてあった車に乗り込んで行ってしまった。


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設定タグ:呪術廻戦 , 夏油傑 , 高専   
作品ジャンル:アニメ
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ユコ(プロフ) - 緑の白猫さん» 展開スピードは自分の中で1番心配していた所なので、そう言っていただけて嬉しいです!ありがとうございます (2021年3月1日 21時) (レス) id: cf63eb9bb2 (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - 展開やストーリー構成が急展開過ぎず、読んでいてとても心地良かったです。 (2021年3月1日 15時) (レス) id: 41276e8159 (このIDを非表示/違反報告)
ユコ(プロフ) - 五条と夏油はイニシャル一緒さん» ありがとうございます!私もげとーさん好きなので頑張りますね^^ (2021年1月24日 7時) (レス) id: cf63eb9bb2 (このIDを非表示/違反報告)
五条と夏油はイニシャル一緒 - 面白いですー!夏油さん好きなので嬉しいです、応援してます! (2021年1月24日 1時) (レス) id: f43ac37e04 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/oorsayui/  
作成日時:2021年1月19日 12時

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