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「オカイケ……ハッピャク……エン…デェス………」
「なに…あれ…」
「こっち見てる…?」
よたり、よたり、とこちらに向かって歩いてくる呪霊は3級くらいだろうか。
彼女達にもしっかりと目視出来ているようで、立ち竦んだり腰が抜けたりしている。
人間というのは、本当に驚いた時は叫び声の1つも上げれないらしい。
「やだ…来ないでよ…!」
「あたしたち、どうなるの…」
「取り込まれるか、悲惨な死体になるか、かな」
淡々と答えると、ヒッと息を飲むのがわかった。
大体は死体も残らないし、3級だとしても惨いことになるだろう。このままだと。
「何とかしてよ藤沢さん…!」
「何とかって…」
その時、ふと考えが浮かんだ。
助けるに値するほどの人間か、彼女達は。
このまま放っておいたら、彼女達はこの呪霊の餌食になる。
この子達がいなくなれば、私はもう惨めな扱いは受けない。
助けるという選択が生まれてしまうのは、私が呪術を使えるせいだからだ。私が呪力のない人間だったらそもそも助けることは出来ない。
まだ呪術師でもないし、言ってしまえば子どもだし。
そうか、私は助けなくてもいいんだ、私にはこの3人を見捨てるという選択肢もあるんだ。
自分のことは守れるし、元はその為の術だからってお母さんが教えてくれたんだし___
「やだっ!助けて!!!死にたくない!!!!!」
1人の叫び声で一瞬にして意識が戻る。
ここで見殺しにしたとして、私はこの後どうするんだろう。
こいつが私の呪力に気付いて襲ってこない確証はない。それに。
おそらく、というよりは確実に、“
嫌な考えをした。
「私だって…死にたくない。死なせたくない」
彼女の方へ伸ばされていた呪霊の腕を、呪力で吹き飛ばす。
完全に動けなくなっている3人を引っ張り上げてなんとか立たせ、走る。
自分を呪うなんて、真っ平御免だ。
「何とかしてあげるから、ついてきて」
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ユコ(プロフ) - 緑の白猫さん» 展開スピードは自分の中で1番心配していた所なので、そう言っていただけて嬉しいです!ありがとうございます (2021年3月1日 21時) (レス) id: cf63eb9bb2 (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - 展開やストーリー構成が急展開過ぎず、読んでいてとても心地良かったです。 (2021年3月1日 15時) (レス) id: 41276e8159 (このIDを非表示/違反報告)
ユコ(プロフ) - 五条と夏油はイニシャル一緒さん» ありがとうございます!私もげとーさん好きなので頑張りますね^^ (2021年1月24日 7時) (レス) id: cf63eb9bb2 (このIDを非表示/違反報告)
五条と夏油はイニシャル一緒 - 面白いですー!夏油さん好きなので嬉しいです、応援してます! (2021年1月24日 1時) (レス) id: f43ac37e04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/oorsayui/
作成日時:2021年1月19日 12時