二百拾一、鳥籠の七年 ページ11
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銀「…で、その後あいつは?」
吉原に入ったのが12、今はもう成人しているらしいが、その間に何があったのか
月「それがな、二年前に吉原を出たんじゃ」
銀「…あそこを正々堂々出れんのは身請けされた奴くらいだろ。てことは」
月「そう、逃げ出したんじゃ。前触れもなくあの身一つで。寒い雪の日じゃった」
何もかもが俺の想像できる範囲外だ
七年間もあの場所に閉じ込められてたのか
銀「…んで、お前んとこの百華が追い回してたっていうことか?」
月「ああ…だがうちの奴らの殆どが音羽と面識があってな。最初は“弁天屋から逃げ出した遊女”としか聞かされておらんかったんじゃが、行き道を逃げていく彼女を見て全員が足を止めてしまった」
彼奴が苦労してきたことを知ったが故の行動じゃ
そう言って月詠は煙を吐く
あいつは上物だったらしいし、その後も追われたようだったが、情報網を使えるだけ使っても、結局居場所は分からずじまいで、生きていることさえ判明せず、百華としては半分諦めていたらしい
月「それと、これは恐らく音___Aも知らぬことだと思うが。
彼奴を売ったのは親じゃが、母親の一存らしくてな。一時期ある男がなけなしの金を手に若い遊女を探しているという噂が花魁の中に流行っていたんじゃ。どうやらAの父親であったらしい」
銀「…Aを探してか」
月「恐らくな。Aはいつも両親のことを憎んでいたらしいが、父親だけはいつも彼奴を探していたんじゃ。そのうち父親は借金に塗れて消されてしまったらしいがな」
結局、父親はAに恨まれたまま死んじまったってことか
Aも、父親に会うことは無かったんだな
月「…さっきの元気な様子が見れて、わっちは嬉しかった。手に職もつけて居るようだし、こっちの世界にはもう戻ってきて欲しくないとも思っておる」
銀「…同感だ。そんだけ苦労してきて振り回されてきたなら、音羽って名前に縛られる人生はロクなもんじゃねえだろうしな」
わっちらはもう彼女を探しはせん
そう言って月詠は去っていった
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紗夜(プロフ) - 続きが読みたいです、更新待ってます (3月4日 13時) (レス) @page31 id: da0a6c0476 (このIDを非表示/違反報告)
ユコ(プロフ) - サクラさん» 返信が大変遅くなってしまい申し訳ないですが、まずは感想ありがとうございます!更新します詐欺常習犯ですが、今年中に続きを書き進めたいとは思っているので、もう暫くお待ちください、、、! (2020年12月21日 1時) (レス) id: cf63eb9bb2 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - 作品終わっちゃってるけどめっちゃ面白いし感動します!続きが見たくて見たくて仕方ありません、、。更新まってます。。。。 (2020年3月11日 18時) (レス) id: 319352fe0b (このIDを非表示/違反報告)
ユコ(プロフ) - 雪月花のとびうおさん» 初めまして。返信が遅れてごめんなさい。ほんとですか!泣いていただけて嬉しいです!亀更新ですが頑張りますのでこれからもよろしくお願いします(。・ω・。) (2019年12月11日 22時) (レス) id: d899cb3249 (このIDを非表示/違反報告)
雪月花のとびうお(プロフ) - 突然ですみません、初めまして。こちらの作品を見付け、一気に読んでしまいました!!とても面白いです!!最新更新の辺りの話、泣いてしまいました…。更新、心よりお待ちしております…!! (2019年12月7日 22時) (レス) id: b36649e14a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/oorsayui/
作成日時:2019年10月3日 1時