百七拾五、一本勝負 ページ25
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「九十四、九十五、」
“強くなりたい”
あの日から、強くそう思うようになった
「二百十一、二百十二、」
あの人からは“お前を守る剣だ”と教えられたけれど、それだけじゃ足りない
自分よりも大切になりつつあるものを護れるようにならないと
土「またお前か」
今日も武道場で素振りをしていると、土方さんがやってきていた
うん、とだけ返して「四百三十二、」と続けていれば、床を踏む音が少し近くなる
土「精が出るな」
「そうね」
土「じゃあ今なら俺と手合わせ願えるな」
「…いいけど?」
いつもは嫌がっていたそれに即答で了承したのは、その“強くなりたい”という思いが強かったからだろうか
そんな私に土方さんも一瞬驚いていた
自分から言い出したくせに
「一本勝負でいい?」
土「一本で勝てる自信があるのかよ」
「相手の剣筋を知るのに何本も必要無いってだけよ」
汗を拭いたタオルを端に投げ、スカーフを緩めた土方さんに向き合った
彼は「お前から来いよ」と言うかのように不敵に笑う
何、楽勝だとでも思ってるの?
それに返事するように笑い返し、床を蹴る
木刀と木刀のぶつかる心地良い音が、武道場に響いた
お互いに手加減はしないつもりだと、言わなくても十分に分かっていた
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作者名:ユコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/oorsayui/
作成日時:2018年3月27日 3時