百八拾三、ただの女 ページ33
土方side
自ら顔に傷を作ろうとしたAを「やめろ」と制する
土「ンなことしてどうなる」
「………」
鞘に収めると、舌打ちを小さく残して部屋を出ていった
晶「全くあの子は昔から人の気持ちを考えやしないのだから…」
…いや、そんなことねぇだろ
Aは人一倍他の奴のことを考えてやれる人間だ
自分自身のことに関しては不器用だがそういうことは俺らよりも断然器用にやってのける
だが母親は続ける
晶「あの子のことよ、どうせ皆さんの足並みを乱すようなことやっているのでしょう?女だから弱いでしょうし」
近「えっと……」
晶「大体目に見えてますし正直に話してくださって結構よ」
土「お言葉ですが、」
ダン、と音を立てて立ち上がった
もう限界だった
土「Aはそんな奴じゃねぇ。女だから弱い?あいつが戦線切ってんだ。ただの女じゃねぇ。
それに他人のことを第一に考えてる。だからあいつに付いていこうって隊士も多い。あいつの言動で士気が上がることはあっても足並み乱すようなことは何もねぇよ」
俺らの前で二度とAのこと悪く言うんじゃねぇよ、胸糞悪ィ
そう吐き捨て、部屋を出ていったあいつの後を追いかけた
案の定自分の部屋でうつ伏せに寝転んでいたAにため息をつく
土「…お前が嫌がってんのは分かったけど、ちょっとは母親の気持ちも考えてやれよ。そういうの得意だろお前」
「…うっさい」
土「少し過保護で口うるさい方かもしんねぇが、娘のことだから必死になってるだけだ」
「土方さん達はあの人の本性を知らないからそう思うだけ…」
土「…本性?」
聞き返すと「なんでもない」とあしらわれる
「もう会いたくないから見回り行ってくる」
土「…ああ」
だが、Aが立ち上がって伸びをした瞬間
晶「A〜!」
朋「お姉さま〜!」
「…え」
ドタドタと部屋にあの二人がやってきた
さっきとは打って変わってニコニコしている
後ろの近藤さんが「ゴメン」と手を合わせている
晶「さっきは酷いこと言って悪かったわ。でも貴女が心配だからこそなのよ。分かってくれるわね?」
「…気にしてない、です」
晶「それでね、貴女の仕事っぷりをしばらく見学しようと思って。一週間ほどここに居候させてもらうことになったの!」
土「「……………は?」」
こうして、地獄の保護者参観が始まった
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作者名:ユコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/oorsayui/
作成日時:2018年3月27日 3時