百六拾二、見間違い ページ12
土方side
昼過ぎのこと
厠から戻る途中、敷地外に出ようとしてるパトカーと入れ違いになった
土「………見間違い、か?」
寝不足の目を擦って、遠ざかるそれを見据える
一瞬、運転席に長い黒髪が見えたような気がしたからだ
長い黒髪といったら、うちではAだけだろう
しかもその本人は休暇中だ
まさかそんなことは…とまた歩き出すと、携帯を見ながら歩いてくる総悟が居た
沖「あ、土方さん。ちょうど良かった。伝言ですぜィ」
「…誰からだ」
沖「Aさんです」
「………何で伝言なんだよ」
直接言ってけ、と不満を漏らしつつ渡された画面を見ると、頭痛がした
土「………“足が必要になったから急遽パト借りますって伝えといて”ってなんだ。馬鹿なのかあいつ。パトは自家用車じゃねぇんだよ」
沖「そんなこと知らねぇでさァ。説教なら本人に直接垂れてくださいよ。俺ァ忙しいんで」
懐から趣味の悪いアイマスクを取り出して自室に向かうそいつの後ろ姿に舌打ちをして、俺は“馬鹿”に電話をかけた
だが、何回かけても「おかけになった電話は、電源が入っていないか、電波の届かないところに_____ 」と繰り返すだけで使えない
何やってんだあいつは
山「…どうしたんですか、副長」
土「あぁ、ちょっとな」
イライラして床をドンドン踏みしめて歩いてたからか、近くを通りかかった山崎に変な目で見られた
山「…そういえば今日ですね」
土「………何がだ」
山「あれですよ。田安の大規模な取り引き」
あとちょっとで捕まえられたんですけどね〜、と眉を八の字にするそいつの言葉に一瞬のうちに冷静にさせられる
摘発出来なくなったことを悔やんでたのはAも同じ、いや、俺ら以上に何処か悔しがっていた
土「…山崎、お前取り引きの場所分かるか」
山「?いや、分かんないです。Aさんがどっかに書き込んでた気がしますけど」
言い終わるか終わらないかのタイミングでAの部屋へ向かって歩き出す
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作者名:ユコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/oorsayui/
作成日時:2018年3月27日 3時