俺のマネはこの子だけ

俺のマネちゃん その33 ページ34

｢あー、もーあかん！緊張してきたわぁ。マネちゃん助けてや〜｣

｢あえて見捨てますね｣

｢ひっど！！マネちゃんひどい！！｣


グランプリの控え室、ピリピリとした空気の中、俺たちだけは特に何も無い、いつも通り。


｢私が完璧にマネジメントするんです。あの手術だってその為に受けたんですから。

だから、優勝以外は許しませんからね｣


ウチのマネちゃんは手厳しい。
一応この簓さんだって緊張もするし、焦ったりもするんやで！？
少し優しくしてもらってもええんちゃう？俺。

ほら、出番ですよ、とマネちゃんが俺の背中を押す。
あー、あかんわ。
盧笙ほどやないけどちょびっと緊張しとる。
今からあのあかんとこに飛び込んで、ぶちかましてくるんやから…。


｢簓さん、頑張ってくださいね｣

｢おん！任しとき！｣

でもまあ、少しの不安もマネちゃんの声で吹き飛ぶんやけどな。

マネちゃんは俺を最後の後押しとして背中から小さな声を出した。




｢簓




信じてる。

行ってらっしゃい｣


｢……っ！！｣



グランプリより、俺の『嫁さん』の殺し文句の方があかんから全然大丈夫やったわ。


｢どーもー！！｣


マネちゃんに、嫁さんにええとこ見せなあかんからな。
俺が緊張してる暇なんて、グランプリ中一度もなかった。

俺の『嫁さん』ほんと強いわ。

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