俺のマネはこの子だけ

俺のマネちゃん その13 ▼ ページ14

私が一緒に行動してた輝が女の子とわかると、簓さんはどこか嬉しそうだった。


多分普通の人が見てもわからないだろういつもの笑顔だが、長い付き合いの私にはわかる反応。


もしかして、嫉妬とかしてくれたのかな…


脈アリでは…？期待する自分と、簓さんならもっといい女性がいるから、と諦めかけている自分がいる。


私はこの人のマネージャー。


それ以上でも、それ以下でもない。


でも、それでも、


『簓さんって、その…好きな人って、いますか？』


私のありったけの勇気を振り絞り、聞くと


「おん。いるで」


さらっと答えられた。


『そうなんですか』


少しの期待と不安。


「じゃあ、柏木ちゃんは？｣


『います。でも、私と釣り合わないというか…』


人気芸能人と、そこらのマネージャー。


禁断の恋とかそういうやつではないだろうか。


それでも諦めきれないとか、本当に恋ってめんどくさいなぁ…なんて考える。


簓さんの好きな人が私だったらいいのに。



そんな淡い願いを胸に、今日は失礼しますね、とベンチから離れた。


「女の子が夜道にひとりはあかん。送る！！」

と、簓さんがずっと言ってたけど、



『すいません。家、目の前のアパートなんで、大丈夫です』


徒歩20秒な為、問題はなかった。


女の子、かぁ。


女の子扱いされたことが嬉しくて、思わず緩んでしまった頬を簓さんが見ていたことに気づかなかった。

俺のマネちゃん その14→←俺のマネちゃん その12

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す