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さんよん ページ35

てっきり、狼が誰なのか教えろとか、言われるかと思ってた。





【新村コウ】という人物を、そういう自己中心的な人間だと、思っていた。





だからこそ、驚いた。




微妙な反応しか出来なかった。


 




コウ「そろそろ、狼裁判が始まる頃だろう。
さっさと付いて来い、琴乃。」


『え、ああ、う、ん。』






…新村コウ、という人間は、こんなにも他人を思いやれる人間だったのか、と気付かされる。

本人は無自覚かもしれないが。




いやはや、第一印象、先入観というモノは末恐ろしい。



『……先行ってて。』



新村くんには、マイペースだのなんだのと言われてしまった。




また随分と遠慮なく接する事のできる関係を作ってしまったものだ。




…なんでだろうな。
デスゲームに参加して、気が狂いでもしたか。





ふと、黒板に書かれた文字を見た。


【君たちは本当の自分に気づいているか?】…か。







………本当の自分、ねぇ。

なんだったかなぁ、『本当の自分』、って。




猫被りが過ぎたのかもしれない。
嘘に嘘を重ね過ぎたのかもしれない。


…ほんとに、どんな人だったかな、私って。




おちゃらけた私か。
だめだって解っていても、ネガティブに考えてしまう私か。

友達も仲間も大事にする私か。
単なる道具としか考えていなかった私か。

皆みんな、平等に接してた私か。
好きな子としか、関わり合っていなかった私か。

優しくて明るくて、優等生の私か。
自己中で卑屈で、劣等生の私か。



お父さんが好きな、私か。
父が好きだった、私か。




考え出してしまったら、キリが無かった。






ねぇ、___。
私って、どんなヤツだった?





ザザッ…ザザ…ザ…。



ふと、教室のスピーカーから雑音が聞こえてきた。

そして次には、狼裁判開始のアナウンス。


もうすぐ始まるから、早くリビングに来い、という内容。












『…は?』


なんでか、分かりなんてしないけれど。不意に、涙が溢れた。

それは、どうやっても止まらなかった。



何だ、コレ。感動泣きか?

彼の仇討ちが出来る、感動?

や、まさか。




…まぁ、どっちでもいいけど。







私は、やるよ。



大丈夫、だいじょぶ。

殺すために、私、いろいろしてきたじゃないか。
機会が、準備してない内に、来たってだけ。





こんな、最低なデスゲームを利用して。

私は、あなたの、仇をとる。




それまで、見ててね。









相田くん。

さんご→←さんさん



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作者名:ハチミツころっけ | 作成日時:2024年3月15日 16時

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