【文スト】俺が帽子をかぶる理由 【中原中也】

25話　中原中也、鼓動と標的。 ページ28

ガチャリ、
また扉が開くが入ってきたのはレインだ。



レイン｢お、お待たせしてすみません！｣



入ってきてそう言ったレインを見て、
俺たちは目を見開く。


肩の下辺りまでに切った黒髪をサイドにまとめ、
大人っぽい落ち着いた青いミニスカートドレス。

金色のペンダントは今日はつけていない。






…………………綺麗だ。

自然と鼓動が速くなる。



ユキ｢レインちゃん！凄く似合ってる！｣

ねぇ、中也！
と同意を求められて気がつく。


中也｢あ、あぁ。綺麗だな、レイン。｣

スッとそんな言葉が出た。


馬鹿か俺は！？
恋人にかける言葉じゃねぇか！！



レイン｢っ！うぁ、あ、ありがとう…………｣

俯く俺とレイン。
気まずい空気が漂う。


ユキがニヤニヤしてやがる、
後でしばく←





ふと腕時計が目にはいる。

中也｢げ、あんま時間無ぇンだった！さっさと流れ確認すンぞ！｣

いくら近いからとはいえ、
港までの移動時間を考えるとのんびりしてられねぇ。



急いで流れを確認した後、
車に乗り込み豪華客船の出港する場所に着いた。



レイン｢タイタニック号みたいに大きい………｣

中也｢不吉なこと言うなよ。｣

ユキ｢俺、沈没して任務失敗はやだなぁ〜｣

中也｢だからやめろよ！｣



首領の手配したパーティの招待状を手に船に乗る。

豪華客船と言うだけあって、
船の内装はかなりきらびやかだった。




パーティが始まり、
主催者が軽く挨拶を行う。


ああ、アイツが今回の標的か。

ふくよかな体型のいかにもなオッサン、
指には宝石のついた指輪が光る。




レイン｢月夜ノ会よりもキラキラしてる…………｣

中也｢“月夜ノ会”って何だ？｣

レイン｢偉い吸血鬼たちの会議で会議の後にそのまま交流目的のパーティがあるんだ。｣

中也｢そうか。それよりレイン、油断するなよ？｣


そっと目線で標的を教えて、
会場から外れる。




中也｢ユキ、情報をくれ。｣

ユキ『はぁ〜い！少なくとも三人刺客がいるよ。一人はマフィアの資料に載ってる異能持ち、さっき通気孔から顔確認した。』


刺客……標的の雇った護衛だ。

仕事スイッチのはいったユキの的確な情報が、
超小型のイヤフォンマイクから聞こえる。


中也｢流石だな、レインにも伝えてくれ。｣

ユキ『了解！｣


さてと、
異能持ちの刺客を無力化するか。


任務前に見たマフィアの資料に載ってた顔を思い出しつつパーティ会場に戻る。

任務はここからだ。


──25話

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