【文スト】俺が帽子をかぶる理由 【中原中也】

10話　中原中也、核心と依頼人 ページ12

任務から帰ってきた。




ポケットから二つの金色のペンダントを取り出す。


一つはある日届いた俺のペンダント、
もう一つは女のポケットから落ちたペンダント。


トカゲの模様が彫られている、
“どちらも全く同じだ”
　





恐らく、あの女は……………


『……………ら、るさま…わたし、は…ずっと………』


今朝の夢で最後に死んだ女だ。



顔に前髪がかかっててよく見えねぇが、
そんな確信があった。





地下牢へと続く階段をゆっくり降りていく…………









中也｢何で、手前は生きてンだ？｣




やっぱり、
夢に出てきた女だった。


レイン、
レイン・レミナス……………



懐かしいと感じるのは、
気のせいだ。




レイン｢待って、ラルは何処まで知ってるの？｣


顔を近づけて何かを考えていると、
急にレインは顔を赤らめて言った。



中也｢何も知らねぇよ…………今だって混乱してる。｣

レイン｢じゃあ、何で『生きてンだ？』って聞いたの？｣


俺の核心をついた質問だ。



中也｢夢で手前が死んだンだ、あれはただの夢じゃねぇ。｣

レイン｢夢………？じゃあラルは本当に記憶がないの？｣


コテンと首をかしげるレイン、
俺は不覚にも可愛いと思ってしまった。


中也｢さっきから記憶だの、覚えてないだの言ってるが俺にはさっぱりわからねぇよ。｣

レイン｢そっかぁ……………｣


寂れた地下牢に、
レインの悲しげな声が響いた。


──────────────────────────────シャムside


国木田｢小僧、名前は何と言う？｣

俺は国木田さんに助けられ、
“武装探偵社”なる所に連れてこられた。


シャム｢シャム。｣


向かい側には国木田さん以外にも色々な人がずらりと俺を見ていた。

国木田｢シャムか。ところでお前はギャング以外にも何を困っていた？｣

シャム｢姉さんが、黒くて恐い人たちに連れていかれちゃって…………ホテルにも入れないし、どうすればいいのか………………｣


谷崎｢『黒くて恐い人たち』ってもしやポートマフィアじゃ………………？｣

国木田｢だとしたら不味い。小僧、お前の姉は何かそいつらにしたのか？｣

その言葉を聞いて、
俺は首をブンブンふった。


シャム｢急に姉さんが銃声のした方に走っていってそうしたら捕まっちゃって！｣

姉さん……無事でいて！



ポツリ、
ポツリと雨が降り始めた。

探偵社の小さな依頼人が物語の波紋を広げていく。


──10話

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