女執事3 (ページ10)

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89話-No side- ページ10

貴[夜分に申し訳ありません]
[大丈夫よ。さ、中に入って]

ルイはある物を作り、子供たちの居る部屋にそれを設置した。そのあとは、子供たちを部屋から運び出し、とある人物に預けに来たのだ

貴[本当、ご迷惑をおかけてして申し訳ありません]
[今日の貴方は謝ってばかりね。別に構わないのよ。これは私の償いだから]

左腕を怪我をしているルイの治療をしながら言う女性。子供たちは既に病室に運ばれ治療が始まっており、警察にも通報済みだ

[これからどうするの?]
貴[ひとまず、ケルヴィン邸にもう一度行こうかと。せめて、家族の最期くらいは見届けないと]
[…そう]

女性は心配そうにルイを見つめる。それに対してルイは困り顔で返す
これからルイはケルヴィン邸に戻った後、命を懸けて行わなければならない事がある。ルイの思惑通りであれば、無事に帰って来れる算段ではあるが、下手をすれば命を落とす危険性があるのだ

[死体になった貴方と会うのは嫌よ]
貴[善処します。と言いたいところですが、こればかりは私にもなんとも]
[ならこうしましょう。『絶対に私に会いに来る』これだけは約束して]

それは、『死ぬことを許さない』という意。彼女にとってルイは、誤ちを止めてくれた人物であり、命の恩人である。そんな大切な人を失いたくなかったのだ

貴[マダムにそう言われてしまったら、約束をせざるを得ませんね]

ルイは微笑みながら、彼女の前に跪いた

貴[私…ルイ·クロヤマは、ここで必ず貴女に会いに来ることを誓います]
[破ったら一生呪ってやるんだから]
貴[ふふっ、そうならないように善処致します]

ルイはそう言い残し、ケルヴィン邸へと戻って行った
彼女は信じていた。絶対にルイは約束を守り、シエルと共に変わらぬ姿で来てくれると
数日後、ルイの訃報を聞くことになるとは思わずに