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「……絶対に、手に入れたい」
「ちょっとだけ、一回だけ課金してみよう」課金の画面を開き、初めての課金をしてから、一度だけガチャを引く。
「やった、スーパーレア!」
ガチャで来たのは、お目当てのドードーでは無かったが。それでも、ドードーと同じくらいの希少動物であるジュゴンを引いた。
「少しは、ランキング上がったかな……」
ランキング画面を開いて、自身のランキングがどれくらいなのを見ていた時、ワールドランキングに記載されていた見覚えのある文字。
「でぃっち、いちいち……」
見覚えがあるも何も。このアカウントは……あの時の出品者と同じアカウント名。田中の背中に冷や汗が伝う。あの時の出品者と同じ奴かは、正直分からない。奴に対して、恨みがあるわけでも無かった。けれども、この再会には運命を感じずには居られなかった。
「コイツに、復讐するならばあの時の俺」
あの日の俺を救うのは、今の俺だ。
そして、現在。田中は、今もまだズーデンをプレイしていた。ズーデンを初めて、結構な日が経つと言うのに。田中は、未だドードーを手に入れて居なかった。ドードーは、スーパーレア。普通に、プレイをしていても早々手に入る代物では無い。だからこそ、田中は惜しまなく時間と共にお金もズーデンへ注ぎ込んだ。課金額は、総額500万。それでも、ズーデンでのランキンは3行。だからこそ、必死でお金を注ぎ込んだし、仕事中でも関わらず、時間も惜しまなくゲームへ費やした。
いつも通り、課金をして十連のガチャを引いた時。何体も持っている動物達が出てくる度に、このガチャは外れかと諦めていた。
「あ……」
最後のキャラが引かれた時、見覚えのあるシルエットとスーパーレアのドードーの文字。スマホ画面に涙が滴り落ちて行く。
「俺の4年……いや、16年……。やった!!」
手を挙げて大喜びしていた時、凄いスピードでタクシーが此方へやって来て居た。
「……えっ」
運転手は、此方の存在に気が付いて居ない。
「うわっ!」
車に轢かれそうになるのを間一髪で避けて、地面へ倒れ込む。その際、手が滑り持って居たスマホが地面へ転がり、そのまま水の中へ落ちていった。
*
あのタクシーの所為で水没したスマホを携帯ショップへ持って行き、壊れたスマホを変え変えてデータを復元して貰う。
「バックアップとれていた分は、復元しまし……」
差し出されたスマホを急いで取り、ゲーム画面を開く。
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作者名:クジラ大好きマン | 作成日時:2023年6月11日 23時