検索窓
今日:139 hit、昨日:109 hit、合計:1,179,720 hit

30 ページ30

膝をついた際に見えた手の甲に、細い傷がついていた。恐らく知らぬ間に切られて、ここから独学入っていったんだろう。

頭がぐわんぐわんするし、視界はぼやけて、手足は痺れたように力が入らない。


猛毒、と言っていたが、そう簡単に意識が飛ばないのは呼吸のおかげだ。




「すごいね、おねーさん。他の人間と違う。偉いなァ。」


『ッは、……はぁ、ふ、ぅ』


「でも、幾ら凄い人でも四半刻もすれば毒が身体中に巡って意識も消えて、痛みを感じないまま僕に食べられるんだよ」




なるほど。そうやって今まで人間を喰ってきたのか。頭がよろしいよ。


鬼は木の枝から降りて、私の元へゆっくり歩いてきたかと思うと、手が届くくらいの距離にしゃがみ込んだ。
ヒューヒュー、と喘息のような呼吸を繰り返す私に、鬼は手を伸ばす。




「おねーさんは僕のお兄ちゃんに言ったら鬼になれるよ。強いから、きっと沢山人を食べれるようになるからさァ」


『ゲホッ、は、……なるわ、け、ない…です』


「………何でそんなに意地はるのかなァ?人間はか弱い下等生物なのに。」


『貴方、だって、元は人…間、でしょう。っ、抗う、意味も、分かるはず……』


「……さァ、知らないね」




そんな記憶忘れたからさァ、と鬼は言うと私の頬に手をくっつけた。手は、冷たい。




「こんな距離にいるのに攻撃もできない。むしろ鬼に触れられてるなんてなァ、鬼殺隊として、どーなの?」


『……ハッ、大口、叩いてられる、のも。今だけ、です………よっ!!』


「っぐぅ!?」




私は頬に触れていた手を引っ張り、羽織の内側から取り出した藤の花の毒の蓋を親指で開け、中身を目の前の鬼に思い切りぶっかけた。

31→←29



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (647 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2530人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

そあ Free sky - 私は現実で愛されていないからですかね?愛されている夢主を見て泣いてしまいました。頑張ってください! (2019年10月6日 21時) (レス) id: 4b25111a5e (このIDを非表示/違反報告)
名無しの刃 - 富岡…?恐らく冨岡では…?偉そうにすみません… (2019年10月3日 23時) (レス) id: 7c2b7aa7df (このIDを非表示/違反報告)
まっち - 続編おめでとうございます!本当に面白いと思いました。これからも頑張ってください!応援してます。 (2019年9月22日 22時) (レス) id: d74e1015ce (このIDを非表示/違反報告)
銀炉(プロフ) - 初コメ失礼します、続編おめでとうございます!7話がなくて話が抜けてますよ!更新楽しみに待ってます! (2019年9月22日 13時) (レス) id: c268784eb7 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 続編おめでとうございます!更新頑張ってください! (2019年9月21日 23時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:-naki- | 作成日時:2019年9月21日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。