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膝をついた際に見えた手の甲に、細い傷がついていた。恐らく知らぬ間に切られて、ここから独学入っていったんだろう。
頭がぐわんぐわんするし、視界はぼやけて、手足は痺れたように力が入らない。
猛毒、と言っていたが、そう簡単に意識が飛ばないのは呼吸のおかげだ。
「すごいね、おねーさん。他の人間と違う。偉いなァ。」
『ッは、……はぁ、ふ、ぅ』
「でも、幾ら凄い人でも四半刻もすれば毒が身体中に巡って意識も消えて、痛みを感じないまま僕に食べられるんだよ」
なるほど。そうやって今まで人間を喰ってきたのか。頭がよろしいよ。
鬼は木の枝から降りて、私の元へゆっくり歩いてきたかと思うと、手が届くくらいの距離にしゃがみ込んだ。
ヒューヒュー、と喘息のような呼吸を繰り返す私に、鬼は手を伸ばす。
「おねーさんは僕のお兄ちゃんに言ったら鬼になれるよ。強いから、きっと沢山人を食べれるようになるからさァ」
『ゲホッ、は、……なるわ、け、ない…です』
「………何でそんなに意地はるのかなァ?人間はか弱い下等生物なのに。」
『貴方、だって、元は人…間、でしょう。っ、抗う、意味も、分かるはず……』
「……さァ、知らないね」
そんな記憶忘れたからさァ、と鬼は言うと私の頬に手をくっつけた。手は、冷たい。
「こんな距離にいるのに攻撃もできない。むしろ鬼に触れられてるなんてなァ、鬼殺隊として、どーなの?」
『……ハッ、大口、叩いてられる、のも。今だけ、です………よっ!!』
「っぐぅ!?」
私は頬に触れていた手を引っ張り、羽織の内側から取り出した藤の花の毒の蓋を親指で開け、中身を目の前の鬼に思い切りぶっかけた。
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そあ Free sky - 私は現実で愛されていないからですかね?愛されている夢主を見て泣いてしまいました。頑張ってください! (2019年10月6日 21時) (レス) id: 4b25111a5e (このIDを非表示/違反報告)
名無しの刃 - 富岡…?恐らく冨岡では…?偉そうにすみません… (2019年10月3日 23時) (レス) id: 7c2b7aa7df (このIDを非表示/違反報告)
まっち - 続編おめでとうございます!本当に面白いと思いました。これからも頑張ってください!応援してます。 (2019年9月22日 22時) (レス) id: d74e1015ce (このIDを非表示/違反報告)
銀炉(プロフ) - 初コメ失礼します、続編おめでとうございます!7話がなくて話が抜けてますよ!更新楽しみに待ってます! (2019年9月22日 13時) (レス) id: c268784eb7 (このIDを非表示/違反報告)
心(プロフ) - 続編おめでとうございます!更新頑張ってください! (2019年9月21日 23時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:-naki- | 作成日時:2019年9月21日 23時