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嶺亜サイド
兄さんが指したページには､こう書いてあった｡
『5月9日 晴れ時々曇り 手紙を送ってから､数日後｡彼女から返事の手紙が来た｡自分の事や家族の事が書いてあった｡彼女は聖職者の家系であり､父親は司祭で母親は聖女らしい｡4人姉弟の長女で一番上であり､自身も将来は聖職者になろうと思っているとの事だ｡性格は一言で言うと､やや人見知りだが芯は強いと言っていた｡小学生の頃から成績は優秀で､弟や妹にとってはお手本になっていて､ご両親からも信頼されているという｡自慢の娘さんなのだろう｡なのに､どうして僕の事が気になるのか…』
大我「当然､顔は知らないけど､才色兼備だって想像できるな」
嶺亜「先代の塾長は､どうしてこういう人と付き合っていたんだろ?」
大我「さぁ…?でも､別れた可能性があるから､師匠のお母さんとは限らないよ」
前に､塾長の友人であるシゲアキ先生が､
お父さんは塾長と同様に､王子様のような顔立ちをしていたって､言っていたな｡
外見は､お父さん似である事が分かる｡
『6月15日 雨のち晴れ 風邪をひいてしまったと､彼女から手紙が来た｡僕はどうする事もできず､会うことは出来そうにない｡どうすればいいかと考えた時､商店街で買い物していた､彼女専属のメイドと名乗る女性が僕の前に現れた｡何か贈り物があれば､預かって届けてくれると言うのだ｡その日はたまたま､雨があがった空に虹が掛かったので､写真を撮った｡これを見て､少しは元気になってくれるだろうか』
『6月18日 晴れ 彼女から手紙が来て､風邪が治ったと報告があった｡空にかかった虹の写真を見て､感動したそうだ｡メイドさんによると､彼女は笑顔になって徐々に治ってきたらしい｡本当に良かった…』
『6月23日 曇り 来月､彼女が通うキリスト教の学校で合唱コンクールをやるらしい｡でも､本人は歌には自信が無いと言う｡彼女のクラスの自由曲は『にじ』という歌｡彼女の為に､僕が特訓に付き合ってあげたい｡メイドさんにお願いして､会わせてもらうしかない｡上手くいけばいいけど…』
空にかかった虹…｡
大我「合唱コンで､『にじ』を歌ったんだ｡そういえば､先代の塾長がよく､当時子供だった師匠に歌っていたんだって」
嶺亜「そうなの?(・・?)」
大我「うん｡師匠にとっても､先代の塾長にとっても､思い入れがある歌だろうね」
へぇ〜…｡
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作者名：セーラーローズ | 作成日時：2023年5月11日 23時
