◇2376. 息子 ページ29
Ｎｏ ｓａｉｄ.
マレウス「お前は、自分がリリアにとって��血のつながりも、育てる義務もなにもない��存在だと言ったが……きっと、リリアも同じように考えているのだろう」
シルバー「……え？」
シルバーは顔を上げた。
マレウス「ヒトの一生は、僕達のように長寿な妖精に比べて驚くほどに儚く、短い。 衰えて自分のためにヒトのお前が時間を費やすこと。そんな義務はないと思ったのかもしれん」
シルバー「親父殿……どうして……」
マレウス「……」
風がマレウス・ドラコニアのマントを靡かせる。
マレウス「おばあさまが、よく仰っていた。
夜の眷属の中でも、ドラゴンを始祖とする我が一族が殊更大きな力を持つ理由。
それは、【茨の谷】の住人達の笑顔を曇らせぬためだと。
なのに僕は、お前達親子の悲しみをひとつ消し去ることができない。 たとえ力を持っていても、僕は……無力だ」
シルバー「そんなことは……っ！」
マレウス「これで、２度目だ」
１度目も、どうしようも出来なかった。
そもそも、マレウス・ドラコニアは気づいてやれなかったのだ。 リリア・ヴァンルージュと……彼の、��最初の息子��のことを。
彼も、捨て子だった。
そしてリリア・ヴァンルージュは拾い、育てたのだ。
マレウス「(あいつも、最初は僕より小さく、脆かったというのに、瞬く間に成長し、現役のリリアには及ばなかったが、強くなった)」
彼は、珍しい性質をしていた。
ユニーク魔法を２つ持っていた。
２つ目のユニーク魔法が目覚めたのを機に、彼は姿を消した。
何処へ行ったかも、何をしているのかも、リリア・ヴァンルージュは教えてくれなかった。
聞けば、リリア・ヴァンルージュは決まって、
「わからぬ」と、寂しそうに笑ってそう言うのだ。
マレウス「(あいつとも、血の繋がりはない)」
けれど、本当に親子のようだった。
互いに赤い瞳を持っていた。
互いにイタズラ好きだった。
互いに好戦的だった。
互いに、互いに、互いに……。
＿＿「マレウス様！」
マレウス「……��エデン��」
シルバー「え……？」
マレウス「リリアが最初に育てたヒトの子の名前だ。 あいつもリリアとは血のつながりはないが、リリアと同じ赤い瞳を持った、可笑しな奴だった」
シルバー「…………��エデン��」
今でも覚えている。
あいつの、快晴のような笑みを。
マレウス「一体、どこで何をしているのだろうな」
.
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冬雪(プロフ) - すたさん» コメントありがとうございます。最初から見てくれるの嬉しいです。頑張ります (6月11日 23時) (
レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
すた(プロフ) - うおおお！！おもろすぎて最初から見てきました！応援してます！！ (6月11日 22時) (レス) @page50 id: 547c4df5f1 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 潤華さん» コメントありがとうございます。とても恐れ多いですが、すごく嬉しいです。頑張ります (5月20日 21時) (レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
潤華 - 冬雪さんが全占ツク作者の中で一番好きです(変に作者がずけずけ出てきたりしないし)！面白くて何回も見返してしまいます！これからも応援しています、頑張ってください✧ (5月20日 19時) (レス) id: 9876854e3f (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - あんりさん» コメントありがとうございます。楽しみです。頑張ります (5月13日 6時) (レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬雪
| 作成日時：2023年3月20日 0時
