【刀剣乱舞】妖物語 (ページ16)

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109.独りの審神者ページ16

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「電話でお兄さんが迎えに来てくれるらしいよ」

『はぁ……』

「それまでベッドで寝ててね」

『……はい』

……誰が迎えに来るのだろうか

電話してもらうだけの筈が、どうやら先生が勝手に迎えに来てくれ、と言ってしまったらしい。

保健の先生にベッドを囲むカーテンを閉めてもらうと、私は用意してもらった水枕に頭を預け、布団に潜る。

『(……また、迷惑かけちゃったな)』

今剣くんあたりに怒られてしまいそうだ。

＂じこかんりもできないなんて、ほんとむのうですよね＂と正論をぶつけられてしまいそうだ。

……でも、それでもいい

さっきお母さんに＂大丈夫＂と言ったばかりなのだから、言った側から熱を出した、なんて言えない。

余計な心配をかけさせたくない。

『(……でも、やっぱり寂しい)』

本心はやはりお母さんに迎えに来てほしかった。

心配してもらって、たまご粥作ってもらって、それから……

刹那、カーテンが開く。

『……っ！』

「驚かせてごめんね？先生ちょっと席を外すけど、大丈夫？」

『……は、はい……大丈夫、です』

そして、カーテンは閉められた。

自然と涙が出てくる。

風邪を引いてる時、何故か自然と涙が出る。そしてそれは自然とではないことを自覚する。寂しいとか苦しいとか辛いとかの感情的な涙でもあるし、誰かに迷惑をかけて申し訳ないと思う罪悪感でもある。

しかしそれはどうしようもなく無責任な涙である。

泣いただけでは熱は下がらない。風邪を引いている間の私は使い物にならないため、どうにも出来ないのだ。

私は目を閉じた

するとまたカーテンが開く音が聞こえた。

先生が様子を見に来たのだろうか、と思い目を開ける前に何か冷たいものが私の頬に触れる。

『(……心地いい)』

なんだこの丁度良い温度。凄く心地いい。

「……眠っていらっしゃるのですか？主君」

『……え』

予想していた声と違い、思わず目を開けると見覚えのある栗色の髪が最初に目に入った。

前田くんと目が合った。

『ま、前田くん……？』

「はい」

『な、なんで……』

「あ、横になっていてください」

『でも前田くんの前で失礼……』

刹那、子どもとは思えない程の力で私の肩を掴み、無理矢理ベッドに押し倒すと、前田くんは感情を読み取れない表情で言ったのです。

「寝ていないと、斬りますよ」

『(なんで短刀の子達って過激派が多いのだろう)』

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