65.自惚れ ページ19
鯰尾.
「(主と兄弟って鈍感だよなぁ)」
畑仕事も終わり、縁側で休憩しながらさっきのことを振り返る。過去を振り返る主義ではないけれど、これは例外だ。由々しき問題だよ。
途中までいい雰囲気だったというのに二人して鈍感を発揮するものだから、この行き場のないもどかしさを何処に吐き出せばいいのかと考える。
『鯰尾さん』
「なにですか〜？」
『先程歌仙さんから手製のおやつを貰ったんです。もし良かったら一緒に食べませんか？』
「もう歌仙さんを手懐けたんですか？流石です！」
『あまりにも人聞きが悪いですよ鯰尾さん！』
主は俺の隣に座ると、一見饅頭のようだけど湯気が立ってる食べ物を半分こにすると俺に渡してくる。
口に含むとパンみたいな食感に肉の味が広がった。
「これ美味いですね！なんていうんですか？」
『��肉まん��というものですが……』
「へ〜」
『食べたことないんですか？』
「そもそも俺、あんま菓子食べないんですよ。気が向いたとしても途中で食べるの飽きて弟達に分けちゃうんですよ」
『……だから、そんなに細いんですか』
そう言って俺の腰回りを凝視する主。
そういえば乱に��女の子は体重とか気にしちゃうんだよ��とか言っていたのを微かに覚えてる。
「主は細くなりたいんですか？」
『そういうわけでは……』
「俺は今の主の体型が好みですよ？」
「甘やかさないでください……」
そう言って肉まんを食べ進める主。
「そういえば骨喰の件、ありがとうございました」
『え？』
「俺、結構一緒にいたのにあいつの異変に気づかなかった」
『……多分、偶々だったんですよ』
「違いますよ。あいつ、普段無表情ですけど嬉しそうだとか悲しそうとかは雰囲気で伝わるんですけど俺しかわからないらしくて俺と骨喰は仲が良いって自惚れてたんです」
『自惚れちゃ駄目なんですか？』
「だってそうじゃなかったら恥ずかしいじゃないですか」
『たしかに恥ずかしいかもしれないですけど、でも自惚れてしまう程自信があって大切な存在だということ、ということにはなりませんかね？』
そう言って困ったように俺の顔を覗き込む主。
この人は鈍感だけれど、欲しい言葉をくれる。
「……主」
『なんでしょうか』
「大好きですよ」
『……え？』
「貴女が大好きです」
主は顔を赤くした。
俺は主の新しい一面を見て、優越感に浸った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 105人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
冬雪(プロフ) - たまごやきさん» コメントありがとうございます。毎回題名が変わる小説ですがこれからも読んでいただけると幸いです (2019年6月9日 9時) (
レス) id: 319301ee3c (このIDを非表示/違反報告)
たまごやき - こんにちは。今までコメントしていなかったのですが、いつも作者様の作品を読ませて頂いてます。あんスタの方から読み始めたのですが、どちらもとても引き込まれてしまいとても好きです。これからも作者様のペースで更新してくださると嬉しいです。 (2019年6月9日 9時) (レス) id: 7f42fd7b15 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 幸別愛友さん» コメントありがとうございます。これからも頑張ります。 (2019年5月25日 15時) (レス) id: 13dcdbbff5 (このIDを非表示/違反報告)
幸別愛友 - すごくいいお話です…(*´^-^`*) その文章能力わけてほしいくらいです…(>д<。) これからも更新頑張って下さい！楽しみにしてます！！ (2019年5月25日 12時) (レス) id: 978af02bfc (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 瑠花さん» 他人が作ってしまうと自分が作った物語が思い通りにいかなくなります。誰も語彙力がないことを馬鹿になんてしませんよ。馬鹿にする方が馬鹿なんですから (2019年5月24日 22時) (レス) id: 13dcdbbff5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：冬雪
| 作成日時：2019年5月20日 21時
