53.逆先夏目 ページ5
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『……あーやっぱダメだ』
ずれ落ちては掛け直し、ずれ落ちては掛け直し。
僕はこの動作が不愉快であり嫌いだ。だから普段はコンタクトにしているというのに何故僕は無くしてしまったのだ。馬鹿か。
最後に見た２−Ａの教室を腰を低くして探すが一向に見つからないし先程からなんか変な音するし。
『……？』
黒板の方から聞こえる
綺麗に掃除された黒板に手を伸ばした時、突然黒板が回転し僕はその回転に巻き込まれた。
『！？』
突然の事に咄嗟に受け身が出来なかった僕は見事に床に顔から着地してしまった。漫画かよ。
「おヤ、子猫ちゃんじゃないカ」
『……出たな奇人』
「君は学習しない子だネ。ボクは��魔法使い��だって何度言えばわかってくれるんだイ？」
顔を上げると白衣を着た逆先夏目が立っていた。
僕のクラスメイトだが彼の存在を知ったのは本当に最近だし彼は��魔法使い��だとは言うけれどやっている事は怪しげな実験だし催眠術だしカラクリだしで彼の魔法らしい魔法は見たことない。
『……このカラクリは君の仕業か？』
「カラクリじゃなイ、魔法だってバ。この星の紋を木槌で叩いて黒板に触れると黒板が回転する魔法なんだヨ」
『勝手に学校の物を改造すんな。教師の奴らにバレても僕は知らないし他人のフリをするからな』
教室に響いていた変な音はどうやら逆先夏目が木槌で壁に書かれた星の紋を叩く音だったらしい。
「そういえば子猫ちゃんが眼鏡なんて珍しいネ」
『普段はしないからな』
「まさか青葉先輩のリスペクト的なアレかイ？ぶっ殺すヨ」
『怖っ』
「冗談だヨ」
彼は冗談と言うけれど全く冗談に聞こえない
「ボクが思うに君は何かを探しているネ」
『当たり。そこはなんか魔法使いっぽいな』
「ぽいじゃなイ、魔法使いなノ。ボクの回転魔法に巻き込ませてしまったお詫びに君の失くし物を見つけてあげル」
『大丈夫なのか……？』
「目を閉じて」
唐突の素に動揺しながらも言われた通り目を閉じると「今度は右手を出して」と言われたので大人しく右手を差し出すと手に何か置かれたため目を開けようとすれば逆先夏目によって両目を手で隠されてしまった。
「今度は失くしちゃダメだよ」
耳元で囁かれた時、指を鳴らしたような音が頭に響いた。
目を開けるとそこには逆先夏目の姿は無く、代わりに僕の右手にはコンタクトケースが置かれていた。
……なんだか遊ばれた気分だ
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作者名：冬雪
| 作成日時：2019年4月17日 23時
