*聞いてない【銀時side】 ページ28
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「つーことは、要するに、ババアが持ち込んだ見合い話を断りたいが、嬉しそうに話す姿に断るのを渋ってるって事か」
「そうデス……」
眉を寄せてポツポツと話し出したのは、俺の幼馴染のA。
甘味処に来て見りゃ、ぼーっとしてるわパフェ零すわで、いつもとかなり様子がおかしいそいつ。
さすがの俺にも、何かあったかぐらい分かるから、ババアに言って理由を聞き出すと、見合いの話があるとのこと。
「どうしよ〜……銀時。」
「んなもん、すっぱり言っちまえばいいじゃねぇか」
「そうだけどさぁ〜……」
「なんていつもなら言うけど、お前は言えねぇたちだったな」
「そうなんだよぉぉぉ……」
崩れるように机に突っ伏すAに、頭を雑に撫でながらため息をつく。
「なんか考えでもあんの?」
「ないよ、ないからこうやって悩んでるんだよ」
「はいはい、そーでした。」
「お見合いは受けたくないけど、おばさんにはお世話になってるから迷惑かけられないし、悲しい思いさせたくないし……」
「好きな人とかいねぇの?いたらそいつの事言えばいいだろ」
「……いるけど、相手がどう思ってるかわかんないもん」
「あ〜、そうですか………
って、待って待って、Aちゃん?」
「なによ」
「好きな人いるのか!」
「そりゃ、女の子だもん。好きな人の1人や2人いるよ
……まぁ、1人だけど」
「だ、だ、誰だ?!どこの若造だ、どこの馬の骨だ!?」
「うるさいってば、銀時。
いやだ、教えない。」
「銀さんしらないよ?!傷付く」
「……きもっ」
いつの間にか机から顔を上げて、冷めた目で見てくるAに、俺は内心焦っていた。
え?なんでかって?そりゃあ決まってるでしょうがァァ!!俺だってAの事は、ちっせぇ頃から好きなんだ!なんなら、学校通ってた頃からな!
なのに……そんな俺を差し置いて片思いしてる奴がいるだって?!そんなの……そんなの……
「お父さん、許しません!」
「はぁ?銀時、お父さんじゃないでしょ」
会心の一撃!!銀さん、心ズタボロなんですけど、ボロボロどころか、粉々なんですけどぉぉぉ?!
「……あ、お店混んできた。
じゃあ、銀時。パフェ溶ける前に食べちゃって。私、お店戻らなきゃ」
「あっ!待て、A……」
さっきの顔はどこへやら。
看板娘の顔に戻ったAの姿に、パフェどころじゃなくなった俺は撃沈して、机に顔を突っ伏した。
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rikohuku0428(プロフ) - 続きのパスワードが知りたいです!面白いのでぜひお願いします! (2020年11月23日 0時) (レス) id: 4dacac16ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:どこかのムスメ | 作成日時:2018年8月23日 12時