*前と変わらないそれ ページ16
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来週とは早いもので、前日に猛スピードで仕事を終わらせた俺は、団長と戦艦を降りた。
「相変わらず、地球は日差しが暑いよね〜」
「これでも、まだ4月だとよ」
「参っちゃうよ、全く。
それより、阿伏兎が夢中になってる女の元に連れてってよ」
「なんだ、団長も来んのか」
「うん。部下の色恋沙汰には首突っ込まなきゃ」
「いや、突っ込まなくてもいいんだけどな」
「ほら、行くよ〜!阿伏兎〜!!」
自由気ままな団長を追いかけるべく、マントを羽織直し、大きい番傘を開いた。
「あっ、阿伏兎、ちょっとお腹すいたから、そこの甘味処入ろうよ」
「おいおい、行くんじゃなかったのか」
「その前に腹ごしらえしなきゃ。ほら!早く」
「へいへい。……全く、これじゃ当分付けそうにねぇなぁ……」
地球に来る前に、燃料やら食料やらの補給の為によった国で、手当してくれたお礼として買った、小箱を右手で触れるとため息をついた。
甘味処は、1階と2階があり、俺たちは2階に通された。
店の中だからなのか、程よい温度で出された水を飲んで涼んでいると、もう決めたのかメニューも寄越さず呼び出しボタンを呼びやがったもんだから、慌て適当に団子に決めると、注文を取りに来た。
「ご注文お伺いします」
「……ん?」
聞いた事のある声に、メニューから顔を上げると、そこに居たのは腰エプロンを付け、お団子にして纏めている、Aちゃんが。
彼女も気付いたようで、驚いたような顔をするも、すぐに切り替え注文を紙に書き始めた。
「では、ご注文を繰り返させていただきます。餡蜜とカステラ、ナポリタンにうどんとみたらし団子でよろしかったですか?」
「うん、そうだヨ」
「では、少々お待ちください」
そう言って、笑みを浮かべたそいつに、また驚くほど心臓がうるさくなり、無意識に抑えると正面に座っている団長が頬杖をつき、ニヤッと笑っていた。
「今の人なんだ?阿伏兎を夢中にさせてるの。」
「なっ……ば、バカ言うんじゃねぇ。」
「動揺しすぎだろ。隠さなくてもいいよ、わかったから。」
「……」
「へぇ〜、阿伏兎って、華陀じゃなかったんだ」
「……なんだよ、その目」
「別に〜?」
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rikohuku0428(プロフ) - 続きのパスワードが知りたいです!面白いのでぜひお願いします! (2020年11月23日 0時) (レス) id: 4dacac16ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:どこかのムスメ | 作成日時:2018年8月23日 12時