弐 ページ3
「くっそ……ああああぁあ！もう我慢できねえええぇっ！痛ぇしっ！フラフラするしっ！！何より、あの吸血鬼どもの家畜見るよーな目が気にいらねぇ！！！俺らは豚か！？牛か！？鶏かっ！？！」
優兄様の突然の叫び声に、頭痛が酷くなった。
「だからさっ、A、ミカ！俺と一緒に、革命起こそうぜ！三人で強くなって、吸血鬼の女王ぶっ殺して、んでここに人間の王国作る！！」
「…優兄様、頭に響きます…」
「あ、悪い…」
軽く頭を撫でられる。
「本当に優ちゃんは頭悪いよね…。その計画も頭悪そーだし。夢見すぎだよ。あるいは漫画の読みすぎ」
「漫画なんか読んでねーよっ！つかここ漫画ねーじゃん！」
「声が大きいよ、優ちゃん。Aの事もっと考えてやりなよ」
ミカ兄様に優しく髪をとかされる。
「ご、ごめん、A…」
「…大丈夫、です…」
「A、無理しないでね？…とにかく、吸血鬼殺すーとか大声で言わないでくれる？正直、吸血鬼に目をつけられたくないんだ」
「…ミカ、Aの耳塞いでくれるか？」
「え、あ、うん」
ミカ兄様のあったかい手が僕の両耳を抑える。
優兄様は、大きく息を吸い込んで…。
「おめーら、いつかぜってぇ殺すからな！！」
歩いていく吸血鬼の背中に向かって叫んだ。
耳を塞がれても聞こえる…。
「Aちょっと待っててね」
笑顔でミカ兄様が言って、優兄様の頭に手を伸ばす。
「俺は毎日一万回腕立て伏せしてんだから…！！」
言い終わる前に、ミカ兄様のチョップが優兄様の頭にクリティカルヒットした。
「そもそも腕力で吸血鬼と戦えるわけがないの」
「じゃあ、お前ならどうすんだよ！！」
「はぁ…だから、頭を使うんだよ。脳みそ、ブレイン、馬鹿には無理。お分かり？」
「優兄様には申し訳ないけど…僕も、同感です」
ため息を吐きながら言うミカ兄様にまたも賛成の意を示すと、優兄様が怒ったような顔をした。
「お前ら…ぶっ飛ばすぞ」
「ご、ごめんなさい…」
「あ…いや、Aは悪くないんだ」
よしよし、ごめんな、と頭を撫でられていると、ミカ兄様が少し笑った。
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