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『帰ろうか』 ページ13

…そんなこんなで、三人と感動的とは程遠い再会を果たしてから、私は近藤さんや沖田くんに、ザキや終さん、真選組の皆に、小太郎と辰馬に着いてきてくれた海賊団の皆に頭を下げた。皆も痛々しい傷を数えきれないくらいに作っていて、その全員につけられた傷が私のためのものであるのだということを、それを目の当たりにした私は暫く頭を上げることが出来なかった。申し訳なくて、仕方がなかった。どう責任を取ればいいのか、分からなかった。けれど、私のせいでたくさんの人が傷付いたのだ。どれだけ幸せでも、どれだけ自分か苦しくても、そのことを忘れてはいけない。笑ってすべておしまいという訳にはいかないのだ。涙で滲んだ目でも、しっかりとそれを見つめて受け止めて、どうすればいいか分からなくても向き合うしかない。

私は、私の問題のために仲間を傷付けた。傷付けさせてしまった。そのことが悔しくて、自分でも許せなかった。けれど、近藤さんは頭を下げ続ける私に、何度も『頭を上げろ』と言ってくれた。私がその言葉に首を横に振っても、優しい口調で『大丈夫だ』と。『俺達は当たり前のことをしただけだ』と、そう私に語りかけてくれた。肩に乗せられた大きくて豪快な手のひらが、なんだか懐かしい温度を纏っていた。

沖田くんは『Aさんのせいで疲れたんで、団子奢ってくだせェ』と薄く笑ながらに言って、ザキはそんな沖田くんをたしなめるように『沖田隊長、』と言って、終さんは静かにそこに佇んでいた。


そうして、『帰ろうか』と近藤さんは言って、私達は細い路地裏を通っては何台ものパトカーが止められている場所に足を進め、パトカーに乗り込んだのだった。


…幸い、重傷者が出ているとはいえこちら側には死者は出なかったようだ。けれど、鬼兵隊の方にはどれくらいの被害が出たのだろう。私が相手にした連中には急所を避けてあるけれど、それでも容赦なく斬りつけてしまったことは事実だ。きっと中には命を落した奴も居るだろう。


…嘗ての私の無力が。弱さが。時を経てこんな事態を呼んでしまったのだ。晋助に許されたとしても。皆が大丈夫だと言ってくれても、どうしてもこの後悔は消えそうにない。消してはいけないのだと強く思う。


けれど、それに足を取られて進めずに立ち止まってしまうのは、間違っていると思えるから。だから、後悔の鎖をこれからも引きずりながら、沢山の傷や痛みを背負いながら、それでも。


…それでも歩いていこう。私は、誓った。

その景色は→←帰ってきた



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設定タグ:銀魂 , 土方十四郎 , 真選組、攘夷   
作品ジャンル:アニメ
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Karin(プロフ) - この作品が好きすぎてもう4回ぐらい読み返してます。とっても面白くて、感動的で、大好きな作品です!銀魂のedにも使われていた桜音という曲を聴いた時に、この作品の高杉と主人公のことみたいだなぁと感じました。高杉と恋仲だった頃の話も見てみたくなりました笑 (8月4日 19時) (レス) id: 9e7f4b97d1 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - ミウラさん» ありがとうございます!こんなご時世ですので暇をもて余すこともあるかと思いますが、私の作品なんかで良ければ読んでやってください!! (2020年5月9日 23時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
ミウラ(プロフ) - ピピコさん» 嬉しいです!楽しみに待ってます(o^^o)その間ピピコさんの小説何度も読み返しますね笑 (2020年5月9日 21時) (レス) id: 3103cb23ea (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - ミウラさん» ミウラさん!ありがとうございます…!!最後まで読んでくださり感謝です…!!高杉さんが出てくるシーンは本当に難しかったです…自分でも書いててしんどかった…!!高杉さんのお話もそのうち書きたいなぁと思っていますのでお楽しみに(o^−^o) (2020年5月9日 19時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
ミウラ(プロフ) - 一気に全巻読めちゃうくらい面白かったです!晋助様のシーンがしんどすぎてずっと泣いてました…笑次は晋助様落ちの小説も書いて欲しいです! (2020年5月9日 8時) (レス) id: 3103cb23ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/  
作成日時:2018年6月14日 19時

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