＃14 選んだ理由。 ページ14
真ん中の明日は思いっきり遊ぶ予定だから、今日は早めに宿泊場所に向かうことにした。
夕飯もちゃんとホテルで出るようにしたから、結構それが楽しみで車を走らせる。
｢やば、これはやばい｣
部屋に入って目の前に見えたそれに俺はそれしか言えなかった。
おい、俺。お前、自分で予約したやん。
｢お夕飯は1番下の階のレストランになります｣
｢あっ、はいっ！すぐ行っても大丈夫？｣
｢時間内ならいつでも大丈夫ですよ｣
荷物を運んでくれたホテルマンさんが｢失礼致します｣って綺麗なお辞儀をして、にっこり笑って戸をパタンと閉めた。
やっと二人きり。
俺は、カバンを投げ捨ててそこに走る。
｢としくん、こんな豪華なお部屋にしたんだね｣
｢せっかくだからさ、ゆっくりしたいやん？｣
俺が1日目に選んだのは部屋に露天風呂がついてるホテル。
なんか結構人気みたいで、早めに予約してよかった。
俺がへばりついているガラスの先には小さいけど海が遠くに見える露天風呂がある。
ゆっくりしたいなんてそんなの嘘だ。
嘘じゃない。嘘じゃないけど。
｢一緒には入れたら最高だなぁ...｣
ガラスの向こうでゆらゆら揺れてるお湯を見て、既に緊張する。
彼女と露天風呂？！
そんなの興奮しない男いないっしょ？
｢としくんなんか言った？｣
俺がいけないことを考えているのを察したようなタイミングのその声に不自然すぎるスピードでバッと振り返ると、｢どうしたの？｣って笑ってる。
｢いっ...いや！！言ってないよ？｣
｢大浴場もあるんだね！｣
｢あっ..そうだね｣
｢でもお腹すいちゃったし、先にご飯だね｣
そう言いながら、俺の方にトコトコ歩いてきたと思ったら、珍しくAちゃんからぎゅーされる。
｢ありがとう｣
｢えっ？どしたん？｣
｢こんな素敵なところ連れてきてもらえると思ってなかったから｣
｢はっ...｣
｢また言った！｣
｢あっ...！違う違う...！！そんなことで感謝されると思ってなかった...から｣
頑張ってたくさん調べたかいがありました。
まだ明日も明後日もあるけど、もう十分です。
｢そこのお風呂も入りたいね｣
俺の方を見て目をキラキラさせる。
｢一緒に？｣
間髪入れずに俺も彼女の方を見てそう聞くと、俺の胸に顔を埋める。
｢....｣
｢Aさーん！！｣
｢...考えておきます｣
｢まじで？！｣
意外な返答に俺の心臓ドキって飛び出すかと思った。
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作者名：Ma
| 作成日時：2018年9月12日 12時
