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#15 お風呂。 ページ15

すっかり忘れてたけど、あいつらはどこで何してるんだろ。

スマホを見てみても、あいつらからの連絡は全くない。

あ、別に会いたいとかいう振りではない。
断じてない。

そう思ったのはこの夕飯を食べるレストランに人がびっくりするほどいたから。

なんかあいつらの反応的にホテルまで合わせられてる可能性まであるし、少し怖いなと思ったから。

結局キョロキョロしてみてもあいつらはいなくて、落ち着いた夕飯を過ごせた。


「うまかった...」


部屋に帰って、テレビを見ながらのんびり。
ちらっとAちゃんの方を見ると、「見てみて!浴衣がある!」って広げてこっちに見せてくれる。

和室の部屋だから置いてくれたのかな。
しっかりぴったりくっつけて布団も敷いてくれてあったし。


「としくんも着る?」

「ってことはAちゃんは着るの?」

「せっかくだから着ようよ!」

「俺は全然いーけど...」


Aちゃんも浴衣!

なんかの拍子に胸元はだけちゃったり?
そんなのが見れちゃったり?


「じゃあ決まりね!私お風呂行ってきてもいい?」

「えっ...行っちゃうん?」

「としくんも行く?」


テレビを消して、スーツケースからポーチやらを取り出してるAちゃんの横にしゃがむと、浴衣を「どーぞ!」って手渡してくれる。


「うん...」

「としくんどっか痛いの?」

「えっ?!」

「なんか元気ないから」


元気がない理由はただひとつ。
ご飯を食べる時だって一瞬も忘れなかった、露天風呂の存在だ。

一緒に入るの考えてくれるって言ったけど、返事もらえるのいつ?

大浴場行って満足しちゃうとかない?

ただ、今また言うとしつこいなって思われても嫌やし。


「いやいや!風呂いこ!俺も準備しよーっと!」


俺らが付き合う前、いつだかてつやが言ってたじゃん。
「理由もなしに断るような子じゃない」ってさ。
きっとまだ考えてくれてるんだ。


「じゃあ出てきたらここで待ってることにしよ?」


大浴場がある階はフロアがすごく広くて、ベンチが沢山あった。

ホテル内のお土産屋さんもこの階にあるみたいで、お風呂上がりっぽい人達が浴衣でたくさん歩いてる。


「としくんゆっくりしてきていいからね」

「Aちゃんもね!」

「あとでね」


ヒラヒラと手を振って、女湯の方へ歩いていく女神。

俺も手を振り返して、女湯行ってみてえなあなんてヤバすぎることを考えた。

#16 浴衣。→←#14 選んだ理由。



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作品ジャンル:恋愛
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作者名:Ma | 作成日時:2018年9月12日 12時

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