星にネガイを【18歳組】

28. ページ29

「あ」



「ん?」



「」






たまたま、本部の廊下を歩いていて




たまたま、今日は任務がなくて






そんな偶然が重なるなんて、神様も酷いものだ





「アラシヤマサン、コンニチワ」




「中村!最近会わなかったから心配したんだぞ!」





嵐山さんが良い人なのは知っている


むしろ痛いほど実感している




私の2年を1番真っ正面から怒ってくれたのもこの人だった

長時間の正座の効果は絶大でさすがの私も立ち上がってすぐには歩けなかった
荒船におぶられながら帰ったことを覚えている




妹さんたちと年齢は違えど、ボーダーに入りたての新人の頃からお世話になった人だ

家族のように心配してくれたのだろう





「…はは、痛いです、痛い痛い」




頭をぐしゃぐしゃになるまで撫でられる

本当なら撥ね除けても良いのだろうけど、目の前のこの笑顔を見たらそんなことできないと察する


ああ、守りたい、この笑顔


なんてね





「嵐山さん、今日は広報ないんですか」



思い返せば佐鳥が狙撃場にいた。

相変わらず努力家な良い子だ。
うん。私は好きだよ。努力家な子。



「ああ、久しぶりのオフなんだ

そうだ!ランク戦、してくれないか?」




今ちょうど探してて、と言うが
彼ほどの有名人ともなれば人差し指を挙げればほんの数秒でその手も埋まるだろうに





「私で良いんですか?

本気でやりますよ?」



「ああ!もちろんだ!」




ああ、笑顔が眩しい


サングラス、買ってこようかな






.







ギャラリーの数が尋常じゃなかったことは


言うまでもない

29.→←27.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す